築年数30年以上の古いマンション。
お世辞にも、部屋は広くないし湿気は多いし、お風呂だって綺麗なユニットバスじゃ無い。
でも、貴方と猫と棲むこの部屋は、超高級なタワマンよりも、リゾートホテルよりも心地良くて幸せで。
何より愛がいっぱい詰まっている。
大好きな、大好きな貴方と居られるこの部屋は、南国の楽園よりも楽園だよ。
満開の桜。
今年もまた、貴方と一緒に見る事が出来たね。
人はどうして、桜を見るとワクワクするんだろう?
わたしも、貴方も、淡いピンクの絨毯が敷かれたような小道をゆっくりと歩く。
「来年も、再来年も、いや何十年先もお前と二人で桜が見たい」
貴方のその一言が嬉しくて。
涙を見せないように上を向いたら、風に乗って数多の花弁が舞い、わたしと貴方に降り注いだ。
「刹那って言葉、仏教用語なんだって」
ソファーに座る貴方の隣に。
「お前は、本当に物知りだな」
貴方はわたしの方を向くと、穏やかな表情で見つめてくれる。
「こうして居る一瞬、一瞬もね」
わたしは悪戯っぽい笑みを返すと、貴方の頬に唇を寄せた。
貴方と生きてる、この刹那。
貴方を愛する気持ちは、劫だよ。
貴方がわたしの隣に居て。
一緒にごはん食べたり、テレビ観て笑ったり、猫と遊んだり。
ささやかだけど、一番の幸せ。
貴方がわたしの隣に居る。
それが、わたしの生きる意味なんだよ。
「大好き」
「愛してる」
そんな言葉じゃ足り無い。
貴方の総てがわたしの総てなんだよ。
何が「善」で、何が「悪」なんだろう?
人によって価値基準は違うと思う。
でも、わたしは「善い事は善い」と言える人間になりたい。
「悪い事は悪い」と言える人間になりたい。
この世の中、悪い事さえも「善」と見なされてしまうし、その逆も然りだから。
清く正しく美しく、なんて柄では無いけれど。
わたしは「善悪」の区別が付いた真っ当な人間になりたいんだよ。