Iben

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12/9/2025, 10:27:14 AM

凍える指先

豪雪の夜。
シャクシャクと水混じりの雪を踏む音がする。
何も感じない。
凍える指先が触れる。
貴方の頬からは何も伝わらない。
「ああ…寒いよ、冷たいよ。」
キラと光ったあれはなんだろう。
雪の光だろうか。
刀の光だろうか。
暖かい。
その暖かさで僕は貴方と一緒に眠ってしまった。

11/25/2025, 10:24:09 AM

落ち葉の道

私の好きな木、ケヤキ
森にある公園の奥で見つけた大きなその木に、
私は心を奪われた。

悩みも不安も何でも包んでくれる、
重厚なこの木に私は体を任せて静かに目を瞑る。

秋になっていつものように彼に会いに行く。
公園から森に行く途中に、
赤や朱色に染まった落ち葉の道が出来ていた。
彼の一部を広い集めながら、その道を進む。

私の好きな木、私が恋した木

樹木性愛と言うらしい
この自然に包まれている感覚、
幸せに満たされる感覚のことだろうか。

落ち葉の道を進んだ先には、葉が落ちた彼が居る。
私は毎年、秋になればその落ち葉の道を進むだろう。
私の寿命が尽きるまではずっと。

11/24/2025, 2:37:51 PM

君が隠した鍵

良いんだよ隠して。
そう、僕が分からない所に
君が隠してくれれば良いんだ

そんな悲しい顔しないでよ。
また会えるって、ね。
それとも君は僕に会いたくない?
あぁ、答えなくていいんだよ
そんなこと聞いたら僕ここに居たくなくなっちゃう
じゃあ、そろそろ行った方がいいよ。

君が隠した鍵、
僕が絶対に見つけられないように
隠してもらった鍵、
ここから逃げ出さないようにかけられた鍵。

あぁ、僕っておかしいんだって。
異常者なんだって。
だからここに居なくちゃいけないんだって。

君は自由でいいなぁいいなぁいいなぁ。

大好きな君を傷つけたくない。
羨ましいけど、本当の僕はそんな事したくないの。
だから大好きな君に僕の鍵を渡した。

でもね、君が隠した鍵見つけやすかったよ。
恨みがましいことしてごめんね。
鍵を隠してくれてありがとうね。

でも、鍵だけあっても鍵穴がなければ役に立たないよね。

11/14/2025, 10:37:05 AM

ささやかな約束

ささやかな約束だと思った。

好きだったあの子に告白をした。
彼女は物腰柔らかく、
いつも場の雰囲気を和やかにさせる人だった。
僕はそんな貴方を尊敬していると、
傍に居たいと、伝えた。
彼女は一瞬、戸惑った顔をしてから笑い、
嬉しい、と言ってから僕をフった。

それから数週間後、彼女は突然話しかけてきた。
「今日の夜、君の家の窓から外を見ててよ。」
何故?なんて問う前に口は返事をしていた。
顔が熱いことに焦っていた僕なんか、
微塵も気にしていない彼女は優しく諦めたように微笑み
「約束ね。」
と言った。

恋は盲目。
今、僕は彼女とのささやかな約束を思い出し、
本当にそうだなと身にしみて感じた。

僕の家は10階建てのマンションだ。
僕の部屋の窓から見えるのはビル。

約束の夜、彼女はそのビルから飛び降りた。

僕は約束を守って、窓から外を見ていた。
ああ、絶対に無事では無いなと、
知識がなくてもわかる、嫌でもわかる衝撃音が響いた。
血の気が引いて、冷たい汗がつーと背中を伝う。
止まらない震え、耳に木霊する音、冷えきった空、
彼女の笑顔。
あのささやかな約束の事。

11/9/2025, 1:43:26 PM

心の境界線

芸術というものは、
自分と向き合うという辛い行為をする。

自分の感情や考え方、生き方。
芸術はそれを形にする。
形になったものは誰か、他人が触れられる。

だから芸術は生死がかかっている。

自分の柔らかく、形の無いものをかたちに起こすから、
それを人に触れられてしまうから。
それを自分が、自分の心の境界線を超えて、
形に出来そうなものを、心の奥深くまで探ってしまうから。

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