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<駅のイルミネーションの中に、花のオブジェがあるやんか。そこで待っててくれへん?すぐ行くから>
突然の電話でそう言われ、私は花のオブジェの前に立っている。
今日はクリスマスだから、もしかしてプレゼントとかくれるのかな、なんちゃって…
淡い希望を抱く。
そして今日は付き合ってちょうど4年目なのだ。
去年は、所謂遊園地デートなるものをしたのだけど、本当に幸せだった。
ジェットコースターとか、メリーゴーランドとか、観覧車も乗った。
…彼がジェットコースター苦手なのは可愛かった。
一応、私が我が儘で乗りたいと言って乗っていたので少し無理させちゃったけど、楽しかった。
その後のお土産買うときも、お揃いのキーホルダー買ったし、もう私としては満足だった。
観覧車で上まで行ったときに少しそういう雰囲気になったけど、すぐに普通の会話に戻って、やけにそわそわしてしまった。
…それにしても寒い。
マフラーに手袋、服はインナーやらヒートテックやらを重ねているので
ある程度の寒さは和らいでいるとは思うけど、でも寒い。はぁと息を吐くと白くなるほどだ。
すると、視界に白いものが映り込んだ。
「雪だ」
上を見上げると、たくさんの雪が降ってきていた。
優しい雪の雨が街に降り注いだ。
気づいた頃には、下には真っ白の絨毯ができていて、あっという間に銀色世界になってしまった。
町中の人たちも上を見上げている。
「おーい佐々木、すまんすまん、待たせて」
視線を戻すと、そこには綺麗なスーツに身を包んだ彼氏がいた。
「うん、大丈夫。でも、なんでスーツなの?」
「内緒や内緒」
と口に人差し指を当ててシーっと仕草をした。
「佐々木、」
背の高い彼は私を見つめた。
「今日は何の日でしょうか」
「クリスマス!と付き合って4年目!」
「覚えててくれたん?ありがとうな」
と頭を撫でながら言う。
「今年は佐々木の彼氏サンタがクリスマスプレゼント持ってきたんやで?」
「え!ほんと?」
「嘘やないで。じゃあそこ立ってくれるか?」
と指を差した先は花のイルミネーションで作られた、写真撮影ができる場所だった。
「うん」
と素直にたつと、横に彼が来たかと思えば、跪いた。
私は目の前の光景に驚きを隠せなかった。
そして、彼はこう言った。
「俺と、結婚してください」
手の上には小さな赤色の箱が乗っていて、中には銀色に光る結婚指輪が入っていた。
私は____________
〈 プレゼント 〉12/24
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ps.こんにちは。私の作品見てくださってありがとうございます。
一応、今までに限らず、これから主人公視点の女の子の名前は 佐々木 杏 (ササキ アン) 固定でやっていきます。
(毎回考えるのがめんどくさいとかそんなわけない)
主は関西弁彼氏が大好きなのでこれからの小説も8割くらいは関西弁だと思われます。何卒…。
身体の芯から震える程の寒い夜。
私は、部屋で一人寂しく炬燵でみかんを食べていた。
テレビを見ていると、アナウンサーの口から知れた言葉が聞こえた。
ーと、いうことで、ついに今日はクリスマスですね!
どうでしょう、皆さんは如何お過ごしですか?ケーキを食べたり、子供たちはプレゼントを首を長くして待っていることでしょう。今回はクリスマスにぴったりなグッズをご紹介します!…ー
「今日、クリスマスか……」
最近は仕事で手がいっぱいだったから、忘れてた。
確かに、いつも何喋りかけても「なんですか」とか「そうなんすね」とかぶっきらぼうな後輩も、
少しうきうきしていた気がする。
「でも、や、やばいぞ、こ、今年は一人でクリスマスを過ごす上、悪くいけば年越し一人なのでは…」
去年は実家にいたので家族と過ごしていたものの、今年はこのご時世もあって実家には帰れなかった。
ケーキでも買ってこようかと考えていると、家のベルが鳴った。
ピーンポーン。
「はーい。」
とは言ったものの、こんなときに誰だろう。クリスマスでみんな忙しいのかと思っていたけれど…。
がちゃっと扉を開けると、そこにはぶっきらぼうで有名な後輩、塩戸くんがいた。
「ども。」
「え、どうしたの?」
「先輩、今日予定ありますか」
私は目を丸くした。とりあえず素直に、
「な、ないけど…」
と答えると、
「じゃあ俺と一緒にクリスマスっぽいことしませんか」
淡々と言う彼の耳は仄かに赤を帯びていた。私は戸惑った。
「クリスマスっぽいこと…?」
「と、とりあえず外行くんで出掛ける準備してください。俺赤目駅で待ってるんで」
「分かった…。」
「じゃ」
と行ってしまった。
私はぽつんと玄関に立っていた。
〈ベルの音〉12/21
日本には四季と云うものがある。
暖かい春。暑苦しい夏。爽やかな秋。そして寒い冬。
ヨーロッパに行くとその括りは無くなってしまう。
四季があるのは、日本だけなのだ。
春。それは雪が溶け始めた頃、土のしたから新しい生命が生まれ始める。
春風は音を乗せ、言葉を乗せ、私達人類の冬眠を覚ますためにやってくる。
卯月になると、桜の門をくぐっていく少年少女が笑顔で学舎へ向かう。
入学式と書かれた看板の前で写真を撮る親子は、
人生のなかでも大きな出来事を体験していることを身体全体で感じさせられる。
始まりである春。
そして
終わりである冬。
冬。それは段々と山々も雪化粧をし、霜柱も珍しくない頃。
雪を投げ合って遊ぶ子供たちを横目に、暖房の効いた部屋でゆっくりとアイスを食べるのもよい。
師走になると、師走と言うだけあって、ツリーに飾りを付けていたかと思えば、
気づいた頃には御節を家族で食べているものである。
膝の上の猫も炬燵に潜り込んで、簡単には出てこない。
春は、事を問わず始まりの四季である。
私達は四季の節目という事にすることで新しいことに挑戦できてしまう。
冬は、私達と共に学び、遊び、変わる。
冬は一緒に。
〈冬は一緒に〉12/18
風邪を引いた。
最近、風邪になることが多い。
この前風邪になったのは1週間前で、やっと鼻もすっきりしてきたかなと思っていた頃だったのに。
今回はもっと酷い気がする。頭を殴られてるような頭痛はするし、喉は痛いし、咳は酷いし、散々だ。
流石に仕事もままならないので今日は会社を休んだ。
でも風邪薬は無いし、お粥を作る気力はない。今私ができるのは布団に潜ることだけ。
電気毛布を敷いていたのは不幸中の幸いだろうか。
そうしてぬくぬくしていると、窓からポツポツと音がしてきた。
雨が降ってきたみたいだ。
一人暮らしの暗い部屋に雨の音だけが響く。
…あぁ、そういえば1週間前、彼が来てくれたときもこんな雨の日だったなぁ。
「佐々木、開けるぞ」
がちゃっとドアを勢いよく開けて私に駆け寄ってきたのは、百瀬さんだった。
「百瀬さん、どうしたの、」
掠れた声で言う。すると、
「佐々木、喋らんでええから。寝とき。」
と私の近くにさっき行ってきたのであろうコンビニの袋を置いた後、キッチン借りるでーと言ってそそくさとキッチンへ行ってしまった。
何日か前の飲み会で私が酔ってしまって、家まで介護してもらったとき、もしまた何かあったらすぐ行けるようにと言われて合鍵を渡してしまったものの、こんなにも早くお世話になってしまうとは…。
百瀬さんに寝ておけと言われて大人しく布団に潜っていると、百瀬さんがキッチンから出てきた。
「起き上がれるか?」
「うん、」
とゆっくり起き上がれば、百瀬さんは私の傍にしゃがんだ。
「お粥勝手に作ったわ。すまん。」
「いや、有り難いというかなんというか…」
「食べれる?」
「ひ、一人でた、食べれる、」
百瀬さんがスプーンで一口分を掬って私の口元に持ってきたので慌てて大きな声を出してしまった。
「そか、熱いから気いつけや」
と言って私はお粥を受け取った。あったかくて、食べると身体がぽかぽかしてきた気がした。
コンビニ袋の中にポカリあるから飲みたいときは飲んでな、と言われて、改めてこの人って私の彼氏なんだなと感じた。
「何から何までご迷惑を…、、」
と頭を下げると、百瀬さんが私の頭をくしゃくしゃっと撫でたあと言った。
「自分の彼女が風邪で会社休みますなんて俺が見過ごすわけにはいかへんのや」
私はすぐに顔をあげて目を丸くした。
「え、仕事は…どうしたの…?」
「あがってきたで。彼女の看病に変えたらどうってことないわ」
「大丈夫なのそれ…」
「大丈夫大丈夫。上司が部下を心配してちょっと家に寄ってるってことになってるから」
「そっか…。えっと、ありがとう」
照れ臭いけど、口に出せた。
「ど、どういたしまして?」
「なんで疑問系なの」
なんて会話をした…日もあった。
あんな事がなかったら、今頃またお粥作ってくれて、彼の笑顔も見れてたのかな。
〈風邪〉12/16