ね。

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2/5/2026, 4:15:20 AM

初めてkissをしたのは、飼い猫だった。
名前は「トラ」といった。
トラ柄だったから母がそう呼び始め、家族みなに定着しのだが、いまおもえば相当ベタな名付け方だな、と思う。



トラは、いつも私の側にいた。
勉強するときも、寝るときも。お風呂に入っているときでさえ、風呂場のドアの横に丸くなって待っていたのだから、本当に私のことが好きだったんだな、としみじみする。もちろん、私もトラのことが大好きだった。





そんなトラも22年も生き、寝てばかりの毎日になったある夜、私はいつものように布団で本を読んでいた。


トラは、本のページをめくるたび、少しだけ耳を動かした。その様子が愛おしく、私はトラの背中を優しく撫でた。するとトラは、私の方に顔を向け、真っ直ぐ私の目を見つめてきたのだった。
しっかり目を開けたトラをみるのは久しぶりで、随分歳をとったというのに、キラキラした美しい瞳だった。


私はたまたま恋愛小説を読んでいたこともあり、見つめあうわたしたちは、なんだか恋人同士のようだな、と笑ってしまった。

私が目を瞑ると、まるでkissをするかのように、トラが鼻を私の唇にちょん、とつけてきた。その仕草が可愛くてたまらなくて、私はトラをぎゅっと抱きしめたのだった。




数日後、トラはこの世を去ってしまったが、あの日読んでいた恋愛小説はいまも本棚にあり、その背表紙をみるたび、大好きだったトラを思い出すのである。

2/4/2026, 8:48:42 AM

ボクはいつまで生きるのだろう
みんな死んでいくけれど
どうやらボクは死なないらしい

うっかり口にしてしまった
この池の水は
どうやら不死の薬らしくて

それに気づいたのは
200歳をこえたあたりで
どうやらボクは死ねないらしい と


1000年先も
その先も
ずっとずっと
生き続けなくてはならないなんて


この池の水を
誰か飲んでくれないかな と
考えたりもしたけれど
ボクと同じ思いをするならば
この池なんてなくなってしまえ と
こころから おもうのだ

2/3/2026, 7:59:17 AM

勿忘草のまわりには、小さな妖精が住んでいるんだ。普段は目に見えないけどね。


ボクは、1度だけ、その妖精たちと遊んだことがあるんだ。
あれは、3歳くらいだったな。




ぽかぽか陽気のあの日、ボクは家族でピクニックに行ったんだ。
勿忘草のたくさん咲いている場所で、お弁当を食べてお腹いっぱいになったボクたちは、みんなでそのままお昼寝をした。

1人だけ先に目が覚めてしまったボクは、耳もとで鈴が鳴っているのに気づいたんだよ。あたりをみまわしても、勿忘草が咲いているだけで、音がするものはなんにもなかったんだ。でもね、音はさらに大きくなってきて、目をこらしてよーく花のあたりを見てみたら、キラキラと何かが光ったんだ。小さな羽根をつけた可愛い妖精たちがいたんだよ。びっくりしたなあ。妖精たちも、ボクに姿を見られているのに気づいてびっくりしていたっけ。


不思議と家族はまだ眠っていたから、ボクはその妖精たちがあちらこちら飛び回るのを追いかけたんだ。楽しかったな。たくさん走ってクタクタになったころ、家族が目を覚まして、妖精たちは消えちゃった。
ボクは汗だくで、いま妖精たちと遊んでいたんだよ!と家族に話したけど、信じてもらえなかった。まあ、そりゃそうだよね、仕方ない。夢だったのかな?って思うときもあるんだけどね、あれはホントのことだった、ってボクは信じてるんだ。



それっきり、妖精たちを見ることはないんだけど、勿忘草がたくさん咲いているのを見ると、ついつい目をこらして妖精たちを探してしまうんだよ。
また、会いたいなあ。



2/2/2026, 8:18:00 AM

前に揺れると、明るい世界。 
後ろに揺れると、暗い世界。

ボクの乗るブランコは、
いつもそんな景色を見せてくれた。

晴れた気持ちのときは、後ろで降りる。
悲しい気持ちのときは、前で降りる。

乗るスピードは、
ゆっくりゆらゆら、と。

このブランコは、
ボクのバランスを保つための
大切な宝物だ。

2/1/2026, 7:03:45 AM

旅路の果てに 辿り着いたのは
仄かに暗い 洞窟だった


身を隠すには 充分な広さで
わたしは そこに
死ぬまで いることにした



あるとき
足元に 
小さな穴ができていることに 気づいた
日に日に それは拡がっていき
人が 入れるくらいの 大きさになった



さらに 身を隠すために
わたしは その穴に 入りこんだ
あたたかく 包まれるような
不思議な 感触がした




しばらく そこで 過ごしているうちに
″わたしは なぜ 身を隠しているのだろう?″
と 思うようになった



ある朝 
目が覚めた わたしは
穴から 這い出し 
洞窟の外へ 歩きはじめた



旅はまた ここから 始まるのだ



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