映画館のスクリーンいっぱいにひろがる、ボクの笑顔。こんな風にみえていたんだなあ、と少し気恥ずかしい。自分の顔ながら、だいぶ優しい表情だ。そりゃそうだ、ボクはキミが大好きだったから。キミをみるたび嬉しくて愛おしくて、いつも笑っていたと思う。
キミが天国にいってしまった夜、あまりに悲しすぎてボクは星空のした、あてもなく歩いていた。気がつくと知らない公園にいて、ボクはなんとなくブランコに座った。ゆらゆらゆれながら、涙が頬をつたっていくのを感じた。目を瞑ると、キラキラしたキミの笑い顔が浮かんでくる。どうしてこんなことになるのか、もう二度とキミに会えないのか、といろんな気持ちがぐるぐるし、ボクはブランコをおり、地面に座り込んだ。
とんとん、と肩を叩かれ顔を上げると、知らない少女が立っていた。
「ついてきて。」
と、その少女はひと言だけ言葉を発し、歩きはじめた。ボクは、言われるがままついていった。着いたのは、町外れの古びた映画館だった。ボロボロの椅子にボクを座らせ、少女はどこかにいってしまった。
しばらくすると、スクリーンが明るくなり、何かが始まった。古い映画だろうか?
『○○の夢』
タイトルは、キミの名前だった。びっくりしたボクは身を乗り出し、続きを見守った。次々と映し出されたのは、ボクの笑顔だった。キミを笑顔でみつめるボク。話ながら笑うボク。どれもキミからみたボクの顔なんだ、と気づいたとき、涙が溢れ止まらなくなった。ああ、キミもこんなにボクのことを想っていてくれていたんだね。涙でスクリーンが見えづらかったけど、最後まで全てボクの顔だった。
「○○、ありがとう。」
と、ボクはちいさくつぶやいた。
「きょうは どのくらい わらったかな?」
まいばん おじいさんは こどもたちに たずねます。
「ぼくは いっぱい はしって たのしくて わらったよ」
「わたしは たくさん たべて おいしくて にこにこ したわ」
「えっとね えほんが おもしろくて あはは って わらった」
「おばあちゃんの くしゃみが ゆかいで わらいが とまらなかったよ」
などなど…
こどもたちは そのひの えがおを たくさん おしえてくれます。
おじいさんは それを きいて にっこりと うなずき こう いいます。
「わしたちの えがおは あしたのひかり に なるんじゃ。みなから つくられた ひかりたちは あしたへ うけつがれるんじゃよ。きょうも たくさん えがおを ありがとう。」
それを きいて こどもたちは また えがおに なります。あしたへのひかり が さらに ふえました。
「ねえ おじいさん。えがおより なみだが たくさんの ときは どうなるの?」
いちばん ちいさなこどもが ききました。
「いい しつもんじゃのう。
そういうときは しばらく あめが つづくのじゃ。あめが ふると ひとびとは えがおが たりない と きづく。だから えがおが ふえるようなことを たくさん するんじゃよ。 たのしくて ワクワク することを。 たくさん たくさん みなそれぞれに すきな ことを するんじゃ。ちなみに わしは ほんを たくさん よむぞ。ほっほっほっ。」
おじいさんの はなしを ききながら
こどもたちは うとうと しはじめました。きょうは たくさん えがおが あったから あすは きっと はれる でしょう。こどもたちは みな あしたはれたら なにをしようかな?とワクワクしつつ ねむりに つきました。おやすみ。
むかしむかし
大好きだったあの人は
わたしの目の前で死んでしまった
あの人はわたしに
とてもとても優しかった
わたしはあの人がいなくなって
とてもとても悲しかった
でも ある夜
空に光る星をみていたら
あの人の笑った顔にそっくりで
ああ
人は死んだら 星になるんだ
と感じた
わたしは
いつ星になれるのか わからないけど、
星になれたら
あの人の隣で、一緒に輝きたいなあ
とおもっているよ
カーン カーン
高い鐘の音がきこえる。
高い鐘の音は、空気が安全だという合図だ。ボクは窓を開け、大きく息を吸い込む。新鮮な空気が身体中を駆けめぐり、生きていることを実感させる。
空を見上げると、久しぶりに鳥たちが飛んでいた。不思議だ。空気が汚染されてから、あちこちで生きものたちが死んでいったのだ。鳥たちはどこから来たのだろう?どうやって生き延びたのだろう?
この村に住む人びとで、今生きているのは10人に満たない。普段はそれぞれ家の中で過ごすしかなく、お互い食料は分け合ってはいたものの、残り少なくなっていた。
他の村はどうなっているのだろう?と、考えることもあったが、この場から出る勇気がボクにはなかった。今ある食料と誰かが鳴らしてくれる、鐘の音だけを頼りに生き延びていた。
ふと、鐘の音がずいぶん長く鳴り響いていることに気づいたボクは、思い切って外に出てみることにした。食料の受け渡し以外で外に出るのは久しぶりだった。
鐘の音の方角をみると、遠くに光る柱がたっていた。かなり大きい。その柱は、ピンクと紫がかかった柔らかな色で、高く高く空までのびていた。
ボクは引き寄せられるように、その柱へ向かって歩きはじめた。光の輝きがあまりに美しく、触れてみたくなったのだ。怖くないといったら嘘だが、どうせこのまま村に留まり家の中にいても、死を迎えるしかないだろう。なら、今進みたい気持ちを優先してもいいじゃないか、とボクは感じたのだった。
村を振り返ると、窓から数人の人びとが心配そうにこちらを見ていた。手をふってみたが、誰もこたえるものはなかった。
ボクはひとりで行くしかないのだ。
どのくらい歩いたのだろうか?
光の柱を目の前にしたとき、ボクは溢れる涙をとめることができなかった。柱の中で鳥たちが飛んでいるのが見えた。死んでしまったと思っていた生きものたちがそこにいたのだ。ただ穏やかに、輝いて。
ボクは、そっと光の中に足を踏み入れてみた。ほのかにあたたかった。ボクは目を瞑って深呼吸をしてみた。身体が宙に浮き、溶けてなくなっていくような感じがする。
鐘の音が大きく鳴り響いてきた。
ぼくの なまえは 「スノー」
なまえから そうぞうできる とおり、
ゆきだるま だよ。
ん?
なんさい って?
あはは
ぼくは ゆきだるま だから
あったかいと すぐ とけちゃうんだ
だから わからないなあ…
でも
なんさいか しりたいの?
うーん
じゃあ キミと おなじ 2さいにしよう
ぼくは ゆきだるま の スノー
2さい だよ
あさから おさんぽかい?
え?
まいご なの?
おにいちゃん いなくなっちゃったの?
それは たいへん!
でも だいじょうぶ だよ
ぼくが いるからね
スノー と いっしょ
だから だいじょうぶ!!!
そういえば キミの おなまえは?
ん?
もう いっかい おしえてくれるかな?
そっか!
ララ と いうんだね
なんて かわいい なまえなんだ!
ララは、さむくないかい?
ぼく?
ぼくは だいじょうぶ だよ
ゆきだるま だからね!
ララ
みてごらん ぼくの はな
これは さっき ことりさんが つけてくれだんだ
きれいな あかい み でしょ
ん?
ララは おなかがすいたの?
よかったら あかい み を どうぞ
すこし すっぱいけど
きっと げんき が でるよ!
あれ?
とおく から こえ が するぞ
ララー!ララー!
って よんでる
ララ の おにいちゃんだ!
よかったー!!!
そうだ ララ
おにいちゃん が くるまえ に
やくそく して ほしい ことが
あるんだ
あのね
ぼくが おしゃべり した ことは
おにいちゃん には ないしょ だよ
うんうん、ふたりだけの ひみつ ね!
さて
おにいちゃん が くるまで
もう ちょっと だけ はなしていようね
かわいい ララ