木枯らしが吹く季節は、キミのことを思い出す。初めて会ったのは、この公園だった。キミは泣きながら落ち葉を踏み潰していた。その姿があまりにも切なくて、ボクは思わず声をかけたんだったな。何度かバッタリ会ううちに、趣味が同じことをしり、急激に仲良くなったボクたち。お互い約束したわけではなかったが、毎日大体同じ時間にこの公園に来るようになった。
明日、キミに告白しよう、この手紙を渡そう、と決めてボクは生まれて初めてラブレターを書いた。今どきラブレターなんて古くさいかもしれないが、ボクはどうしてもキミに手紙を渡したかったんだ。
次の日、キミは来なかった。いつまで経ってもキミは来なかった。それからキミに会うことはなかった。連絡先を交換してにいなかったから、その日何故来なかったか分からないし、今どうしてるかも分からない。キミは元気なのかな?
この季節になると、渡せなかったラブレターを箱からそっと取り出し、唯一知っているキミの名をただ見つめる。
ラブレターの宛名は『冬へ』だ。
鈴の音が どこからか きこえる。
キミを 迎えにきたのだ。
月夜に照らされ キミの横顔を みれば
目からひと筋の涙が こぼれ落ち
光のつぶ と なって 消えた。
どこかの 昔話のようだ。
こんな夜に
キミが いなくなる なんて。
鈴の音と共に あらわれた
大きなカバンを 背負った男。
キミの 本当の父親。
嬉しいことのはずなのに
涙が溢れて止まらない。
2人は 深く頭を下げて
何も言わずに 去っていく。
ボクは ただ 見送る。
ずっと ずっと。
姿が みえなくなるまで。
きっと また 会える。
キミは
月に帰るわけでは ないのだから。
光のつぶをみるのが好きだ。
木々の隙間からこぼれ落ちる、キラキラしたつぶたち。離れてくっついて、くっついて離れて。形を変えて、流れていく。
粒たちが消えた跡には、わずかな音がみえる。むかしむかし聴いたことがあるような、どこか懐かしいメロディー。それは、小さな天使たちが、ひっそりと奏でていることをボクは知っている。
お日さまが輝き、風が優しく、なんだか気持ちのよい日は、木々の隙間を眺めてみるといい。きっとそんな光景がみられるだろう。
今日は満月。
なかよしのお月さまとお星さまが、なにやらお話しています。
お星さまが言いました。
『ボクね、あれを食べてみたいの』
あれ、というのは、地上の子どもたちが食べている、わたあめです。よく知っている雲みたいな形なのに、子どもたちがあまりにも美味しそうにほおばるから、気になって仕方なかったんですって。
お月さまは、お星さまと約束していたのです。私が今度まんまるになったら、そのお星さまの願いを叶えてあげる、って。(お星さまは、生まれてから1度もお誕生日のお祝いをしたことがないそうです。だから、それを聞いたお月さまは、なにかささやかなプレゼントをしたくなったみたいですよ。)
『わたあめですね。分かりました、ちょっと待っててくださいね。』
お月さまは輝きを増し、一瞬消えたようにみえましたが、不思議なことにわたあめをお星さまの目の前に出してくれました。
『わあ~!!!』
お星さまの目がキラキラ。
パクッとほおばるお星さま。
甘いお味に身体全体もキラキラ。
その様子をみて、
お月さまもにっこり。
今日の満月が
いつもより明るくほんわかしているのは、こんなやりとりがあったからなのですよ。
新しい朝がきた。
今夜も無事、祈りが終わった
産まれてからずっとベッドで過ごす私が、唯一できることは『祈り』だ。真夜中になると目を瞑り、朝が来ることを願ってただただ祈る。毎晩毎晩。繰り返し繰り返し。
私の祈りは、どこに届いているのだろう。
私の祈りは、いつまで届くのだろう。
このまま祈り続けたら、
祈りの果てには何があるのだろう。
天国か地獄か。
それとも 《 無 》 か。
考えても分かるわけなく、
私は朝が来たのを確認し、今度は眠るために目を瞑る。