鈴の音が どこからか きこえる。
キミを 迎えにきたのだ。
月夜に照らされ キミの横顔を みれば
目からひと筋の涙が こぼれ落ち
光のつぶ と なって 消えた。
どこかの 昔話のようだ。
こんな夜に
キミが いなくなる なんて。
鈴の音と共に あらわれた
大きなカバンを 背負った男。
キミの 本当の父親。
嬉しいことのはずなのに
涙が溢れて止まらない。
2人は 深く頭を下げて
何も言わずに 去っていく。
ボクは ただ 見送る。
ずっと ずっと。
姿が みえなくなるまで。
きっと また 会える。
キミは
月に帰るわけでは ないのだから。
光のつぶをみるのが好きだ。
木々の隙間からこぼれ落ちる、キラキラしたつぶたち。離れてくっついて、くっついて離れて。形を変えて、流れていく。
粒たちが消えた跡には、わずかな音がみえる。むかしむかし聴いたことがあるような、どこか懐かしいメロディー。それは、小さな天使たちが、ひっそりと奏でていることをボクは知っている。
お日さまが輝き、風が優しく、なんだか気持ちのよい日は、木々の隙間を眺めてみるといい。きっとそんな光景がみられるだろう。
今日は満月。
なかよしのお月さまとお星さまが、なにやらお話しています。
お星さまが言いました。
『ボクね、あれを食べてみたいの』
あれ、というのは、地上の子どもたちが食べている、わたあめです。よく知っている雲みたいな形なのに、子どもたちがあまりにも美味しそうにほおばるから、気になって仕方なかったんですって。
お月さまは、お星さまと約束していたのです。私が今度まんまるになったら、そのお星さまの願いを叶えてあげる、って。(お星さまは、生まれてから1度もお誕生日のお祝いをしたことがないそうです。だから、それを聞いたお月さまは、なにかささやかなプレゼントをしたくなったみたいですよ。)
『わたあめですね。分かりました、ちょっと待っててくださいね。』
お月さまは輝きを増し、一瞬消えたようにみえましたが、不思議なことにわたあめをお星さまの目の前に出してくれました。
『わあ~!!!』
お星さまの目がキラキラ。
パクッとほおばるお星さま。
甘いお味に身体全体もキラキラ。
その様子をみて、
お月さまもにっこり。
今日の満月が
いつもより明るくほんわかしているのは、こんなやりとりがあったからなのですよ。
新しい朝がきた。
今夜も無事、祈りが終わった
産まれてからずっとベッドで過ごす私が、唯一できることは『祈り』だ。真夜中になると目を瞑り、朝が来ることを願ってただただ祈る。毎晩毎晩。繰り返し繰り返し。
私の祈りは、どこに届いているのだろう。
私の祈りは、いつまで届くのだろう。
このまま祈り続けたら、
祈りの果てには何があるのだろう。
天国か地獄か。
それとも 《 無 》 か。
考えても分かるわけなく、
私は朝が来たのを確認し、今度は眠るために目を瞑る。
夢をみた。
迷路をぐるぐる走っている夢。
出られなくて、泣きじゃくる私。
そこで 目が覚める。
次の日は、
迷路を大好きな彼と手を繋いで歩く夢。
幸せいっぱい。
目が覚めてがっかりした。
毎晩、迷路の夢をみつづけて、私はある法則に気づいた。その日の心の状態がそのまま夢になるらしい。そして、夢の登場人物はその日あったひとたち。イヤな出来事があった日は苦しい夢を。嬉しかった日は楽しい夢を。そんな感じ。
さて、今日も無事終了。
友だちと会えて嬉しかったなぁ。そういえば、あの子につい意地悪しちゃったのは、ちょっとやりすぎだったかも。まあ、大丈夫でしょ、明日謝れば。
…と、思いつつ、楽しい1日だったからきっとそんな夢が見られるだろう、とうとうとする。そのとき、耳もとで囁く声がした。
『私のこといじめたあの子、許さない』
私は、今日謝らなかったことを後悔しつつも深い眠りについた。