NoName

Open App
5/18/2024, 3:57:49 PM

今まで幾千の恋物語に想いを馳せてきました。

煌めく恋物語は私にとって憧れであり、出来事を通して共感をして行くうちに彼ら彼女らの疑似恋愛を楽しみながら学べる生きた教材なのです。


私は現実で淡い恋心を抱いています。
お恥ずかしいのですが、経験が少ないため、勇気を出して友人に相談をしまして、この前恋バナというものをしました。
友人には感謝しかないのですが、好きな人は可愛く見えるという意見で一致しました。

だけど本当はその思いを語るにはまだ早く、収穫できるほど成熟していません。
焦らず無理をせず今は自分の気持ちを見つめていくという友人のアドバイスを大切にしようと思っています。

そんな中、最近、気づいたことがあります。
香りについてなのですが、こっそりと掌編のモデルにさせていただいている男性が身近に居りまして、その方は香水をつけています。

たぶん成分に入っているイランイランの香りがその方が通るたびに鼻腔をくすぐるのですが、間違いなくモテるであろうその方はいつも小説の参考にさせていただいて居りまして、なるほどと思っています。なんのこったと思われるかもしれませんが、イランイランは若干癖がある香りだと思っていまして、印象に残る存在感と身につける人の自信を私は感じています。

そして、この前、職場で気になる人の部屋に行った時にふわっと香水の香りがしました。
それは爽やかな香りで勝手なイメージとしてはスポーツマンの方がつけている様な良い香りでした。
柑橘系の成分かなと何故か胸がきゅんとときめくというさり気ない感じの匂いでした。
少しホッとした香りでいつまでも嗅いでいたいような気持ちになりました。

気になる方は心配になるぐらい不機嫌そうで冷たい感じだったのですが、GWを明けてみて何回かお会いしてみたら杞憂に終わりまして、先日いらっしゃった時はにこっとしていました。

そんな好きな人のあるアクションがありまして、気になってしまいモヤモヤとしています。
男性の心理について動画を観たり調べたりしているのですが、謎のままです。

とりとめのないお話をしてしまいました。
失礼いたしました。



5/13/2024, 3:18:41 PM

ああ、気づいたら、私は家になっていた。
その家はどこにでもありそうな木造の古い一軒家だった。

「ゔー、ひ、ひっく」
どこからか女の子の泣き声がする。

私は意識を向けた途端、その場所に移動していた。

玄関だった。

制服姿の女の子が背中を丸めて、肩を上下させている。
むせび泣いているようだった。
なんだか私の胸がぎゅっと苦しくなる。

そして、家になった私の脳裏に、映像が流れてくる。
「また、エリは学校に行っていないのか」
そう低い声がする。
映像に慣れてくると視界がクリアになり、声の主が家の居間で誰かと話している様子が視えた。
40代後半ぐらいの男性がため息をついていた。男性は白髪が際立って見えて実際の歳より老けてみえる。


「そうなの、担任の宮田先生から電話があったわ」
向かい側に座っている女性は少し疲れたように話している。
「何だって」
「いじめはないって」
「そうなのか」
少し語尾に疑問符をつけながら男性は答えても、二人共やつれているようで沈黙が始まる。

家の私にはここの家庭の事情が映像が流れ込んでくるお陰で少しずつ理解できるようになった。

あの制服姿で泣いていた女の子はエリという子で、どうやら中学2年生らしい。
不登校で学校には行っておらず、一番最初の映像で観たのはあの子の両親だった。

家の私は腕を組んで(気持ち的に)、悩んでいた。
この家庭の状況は家の私から見てもかなりの試練を迎えていて何よりも空気が暗い。

ちらっとカレンダーを見ると家になって早1ヶ月たった。
ちなみに家の私は今どこにいのるかといえば、不登校になっているエリの部屋にいた。

エリは眠っている。
部屋の中はこざっぱりとしていて、壁には最近のアイドルの写真が貼ってあり、あとは机に写真立てがいくつか伏せてあった。
私は写真立てに写っている人物を見ようとした。念能力の力でカタッとひっくり返して写真立てを見ることに成功した。

中学校に入学したエリと隣に写っているのは杖を持ったお婆さんだった。
もっと良く見ようとしたら、後ろで、
「お祖母ちゃん」
とエリが寝言を言いながら涙が一雫、頬を伝ってこぼれて落ちていった。


(お祖母ちゃん)
何か胸をよぎるものがあったが、分からず、とりあえず家に意識を戻した。


「シロ、シロや」
懐かしい声がする。

「お前は賢い子だねえ」
「ワン」
「お母さん、もうそろそろ」
大切な貴女の娘が口元を抑えて奥歯を噛み締めている。それでも温かいものが頬を伝っている。

「ああ、分かっているよ。シロ、お前のことが大好きだよ。お前を残していく私を許しておくれ」
そう皺々の手を私の白い毛並みの上に置いた大事な人はか弱い息で続けた、
「私の大事な家族を守っておくれ」
「ワン」
「お前とまた会えるのをおじいさんと楽しみに待っているからね」
「ワン」
私は大切な貴女の手にすりすりとして、伝えようとした。
私は貴女との約束を……。
安らかな貴女の目が完全に閉じてしまう前に、伝えようとした。


ハッと目を覚ますと、まだ夜が明けきらない明け方だった。
私は再度しっかりと目を瞑る。

そして、エリの部屋に意識を飛ばす。
エリは眠っていた、黒髪が伸びていた。
カレンダーを見ると前回見たときと日付が変わっていないので、違和感を感じてデジタル時計を見る。
家になってひと月が過ぎて、えーと今はさらに6ヶ月が過ぎていた。
「うーん」
エリが目を開けた。
そして、目があったのだが焦点が定まっていなかった。
「今、何時だっけ。いいや、もう分からないから」
とトイレに行こうと立ち上ったみたいだった。
お手入れされた髪は四方八方と伸びていて、ぼうぼうとしていた、そして、青白い顔にどこかボーっとした目をしたまま部屋を出て行った。




5/5/2024, 11:54:12 PM


「愛しい人」
その方は眠りにつく直前、確かにそう言った。

ーーーーーー100年後ーーーーーーーーーーー


「なあ、この森って辛気臭いよな」
「ああ、確かに死んだ人間が蘇りそうな雰囲気があるな」
声を張り上げて口々に言う彼らは双子の従僕だった。

一番前を歩く双子の一人のスコットがガサガサと音をたてながら剣で茂みや枝を薙いで、後ろに続く私たちが歩きやすいようにしてくれている。

幼い頃よりも見知っている双子の片割れのスコットが、
「道に迷わなかったら、こんなところに来ませんよね、お嬢様」
とにこやかに微笑んだ。

私は若干肩が震えたが、森の薄暗さで従僕は気づくことがなかった。

「お嬢様、エヴァお嬢様」
私を守るように歩いている長身の侍女は不安そうな顔で私に呼びかける。

「どうしたの、ルイーゼ」
私は澄ました顔で訊く。

「道に迷いましたが、安全な場所にお嬢様を連れていきますので、もうしばらく辛抱してくださいませ」
侍女は真剣な面持ちで四方八方に目を配る。

(ごめんなさい、ルイーゼ)
私は目を伏せながら、いつも傍にいてくれる侍女に心の中で謝った。

「お嬢様、そんな不安そうな顔をしなくても、獣が出れば私が仕留めますので大丈夫ですよ」
と後ろを守りながら歩いている双子の従僕のスタンが自信満々に言う。


ーーーーーーーーー100年前ーーーーーーーーーーー

「もうすぐお誕生日ですね、エーファ王女様」
プラチナブロンドの波打つ髪を侍女が丁寧に梳いていく。

「ええ、十七歳になったら、この城ともお別れだわ」
一つ一つが光り輝くような長い睫毛を伏せながら、珊瑚色の口元は浮かない形をして呟く。

「エーファ王女様、輿入れの際は幼い頃よりお世話をさせていただいた私や他の者も一緒に参りますので、ご不安にならなくても大丈夫ですよ」
侍女がにっこりと微笑みながら、励ましてくれる。

「そうね、この城で最後のお誕生日のパーティーを私の大切な人達と楽しんで過ごしましょう。皆にお別れの挨拶をするわ」
伏せたまつ毛を開いて鏡を見ればそこには澄み切った空色の瞳がアクアマリンの色を彷彿とさせる一国の王女が居た。


私の最後のお誕生日パーティーには婚約者も参加する予定になっていた。
隣の国のアスレア国第一王子サンカー・トロイ・トーマス・アスレア殿下は会場に到着するとすぐにこちらに足を運んでくれた。

少し胸がドキドキする。

私はカーテンシーをして、
「遠路はるばるようこそお越しいただきました、お会いできて大変嬉しゅうございます。ヴェロシア王国第一王女エーファ・コンコルディア・ヴェロシアでございます」

「ああ、貴女とお会いするのは婚約式の時以来、三年ぶりとなります」
「お転婆だった貴女はお美しくなられましたね、アスレア国第一王子サンカー・トロイ・トーマス・アスレアです」
そう言って目があった時、あなたの黒髪が一房、額にかかった時に微笑んだ姿を私は頬を染めて短い人生の記憶に刻みました。



「殿下、お誕生日おめでとうございます」
「ええ、ありがとう。マーティンソン公爵閣下、あなたも息災のようで何よりです」
小さい頃から見知っている方々に微笑みながら挨拶をする。

「殿下が十七歳になられる姿をこの目で見れるとは至極恐悦に存じます」
マーティンソン公爵は腰が湾曲していて、突然、撫でつけた白髪を振り乱すほど泣き始める。
そんな公爵閣下にそっとハンカチを差し出したマーティンソン公爵夫人も慈愛に満ちた瞳でそっと添えてあった閣下の腕をさする。

少し戸惑いを覚えたエーファ王女は、
「嬉しいわ、ありがとう」
と口にしたけれど、
(どういう意味なのかしら)
内心首を傾げた。








5/5/2024, 7:05:32 AM

「センチメンタル」

お恥ずかしいですが、オフィスでは目を閉じてあなたの声が聴こえないのかたまに全神経を集中させております。

たぶん、あなたが微塵も気づいていないのは分かっていますが、居そうな時を見計らってあなたの顔を見に行っているなんて誰にも知られたくないです。

そして、この前居たのに声をかけても不機嫌そうなご様子でした。
それから挨拶もしないでトイレに行ってしまったので、グサッと抉られる痛みと共に部屋に戻り、泣きそうになりました。

いい歳をして人前で涙を流すのは必死に堪えて午後を過ごしておりました。
午後中は部屋からヨロヨロと歩いて覚束ない足取りになり、私にはダメージが大きすぎました。

私は天邪鬼のような態度しか取れない捻くれ者です。
ツンデレの面倒くさい人です。

どうやったら好きな人に対して素直になれるのでしょう。

どうやったら世の恋をしている方々のように可愛らしい態度をとれるでしょう。

GWは熱を出してしまいセンチメンタルになってこれを書いています。

自分の心に耳を澄ますと理性では割り切れない感情や本音があって、あなたにGWを過ぎてお会いしても、正直な態度で接したらドン引きもしくは軽蔑されないか不安なのです。
熱が出ると弱い自分が漏れ出てしまい、ボーッとしてしまいますので、お休みして回復に努めたいと思います。

お目汚し失礼いたしました。

4/30/2024, 11:16:41 PM

リア充


中高生の頃、流行ったこの言葉は社会の風潮をあらわしていた。
社会人になって、昔の事を思い出していたのも隣にいる幼馴染が机で寝ているからである。

なんで、人様の机で大人の男が寝ているんだろと自分でも呆れてしまうが、少し覗き込むと、すやすやと机に涎を垂らしていたので、頭を叩いて起こそうかと真剣に悩む。
また、小さい頃から見ているこの男は、昔はほっぺがぷにぷにとして可愛らしかったのに、今は頬が硬そうなので、眠っている隙に人差し指を当てて感触を確かめる。

「ん? 硬い」
独り言を漏らすと、


「何してんだ、恭子」
「へ?」

突然、ライオンが目を開けたかのように、寝ていた奴はこちらを睨んでいる。
思わず心の動揺を押し隠すため、

「いや、昔は可愛らしかった朗太が今はすっかりおじさんだなと思って」
あせあせと言葉が滑り出てくる。

「じゃあ、お前はおばさんじゃね?」
ふんと笑う姿に可愛らしさは無くなっていたので、私は(残念だな)と眉を寄せながら、

「私はアラサーです。はいはい、立派なアラサーですよ」
と首を右にこてっと傾けながら、うなずく。

「ねえ、朗太」
「お前、その呼び方はやめてくれ」
不機嫌そうな声になった幼馴染の朗太は猛獣のような目つきの鋭さでこちらを見るので、

「あ、ごめん。つい」
「わざとか」
「いや、慣れだよ」
「ふん、そうなのか」
と慌てて私は弁解をしたが、朗太のご機嫌が斜めになった。

「だいたいさ、彼女いるなら来ないでよ」
ぽろりと本音が漏れてしまったのを聞き逃さずにじっと見てくる。
冷蔵庫にあった果物のゼリーを二人で無言で食べていた時に、朗太に話してしまった。

「彼女って絵美のことか?」
顔が良い幼馴染はどこか上の空だったけど、
「そうよ、女性の嫉妬の恐ろしさを昔から経験してるのよ、絵美だっていつもにこやかだけど私を見る時は冷ややかなのよ」
身震いするような学生時代の思い出が蘇る。

「お願いだから金輪際、私の部屋に来ないで」
と奴に懇願するのだが、

「無理だ」
と却下される。

この幼馴染の男は中学、高校の頃からよくモテる。
私は隣の家に住む奴のお陰で女性からとばっちりや陰険な目にあい、一時的に人間不信に陥ってしまった。

社会人になって、奴と距離ができてから心が落ち着いて、心情を誰かに吐露できるようになったのだ。

「学生時代覚えてるでしょ? あんたを好きな子達にい、いじめられて、大変な……」

「絵美とは別れた」
朗太が何かつぶやいたがよく聞こえなかったので、

「人が少ない階のトイレが私のオアシス……」
「は?」
奴の言葉にフリーズしてしまった。

「あんた、な、なんで。そんなもったいない」
と泳いでいる魚が陸に飛び出して酸素不足に陥るかのように、喋ると、

「お前がなんで狼狽えるんだ」
とはっきりした太い声音がした。

「うろたえてるでしょ。当たり前じゃない。あんたの学生時代の女性遍歴をなぜだか知っている私が一番驚くわよ。絵美とは4年付き合ってるんでしょ」

「もう付き合ってた、だ」
過去形にするということで幼馴染の本気の時の一貫性が伝わってくる。

「確か絵美とは社会人になってから職場で再会して付き合い始めたんでしょう?」

「そうだけど」
不意と目を逸らす奴に畳み掛けるように、
「いい出会いなんてそうないんだからもったいないじゃない」
と力説していた。

(私が説得している場合じゃない。私だって、良縁が欲しいし、彼氏だって)

「いるのか」
「え?」
考えに没頭していたら、言葉尻が聞こえた朗太の言葉にゼリーのお代わりは冷蔵庫にあると思って、
「あるけど」
と答えると、朗太の声が一段トーンが下がったような気がした。

「俺の知り合いか?」
「朗太の好きな味はまだあるよ」
と答えたところで、首を傾げた。

部屋には沈黙が続いている。

私は立ち上がり、
「さ、ゼリーも食べたからもう家に帰って」
さあさあと幼馴染の腕を引っ張り、部屋から追い出そうとした。
「待ってくれ」とか聞こえたけど知らない振りをした。

朗太は学生時代、言葉通りリア充だった。

リア充は学生時代が楽園だったはずだ。
その対極にいたのが暗黒時代だった、私だ。

ようやく傷も癒えてきたのに、塩を塗られては冗談ではない。

次こそは彼氏をと切実に望んでいる私にはじっと見てくる朗太が何を考えているのかなんて知らないほうが良いに決まっている。

「俺はお前が……」
「そ、そう。ごめんちょっとトイレに行きたいから」
と言葉を遮り部屋の外のトイレに行こうとしたら、逃げようとする私に対して、

「お前は良く(俺の性格を)知ってるはずだ。 人の話を聞かないで逃げるなんてできる訳ないじゃないか」
ぎゃっ、腕を引っ張られて朗太の腕に囲われてしまった。

隣の幼馴染は肉食獣を彷彿とさせる目で私を捕らえて、そして、それに怯える私は小動物なのだろう、か。

Next