tifon

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6/12/2023, 10:59:17 AM


好きと嫌いが人を作る
好きと嫌いで人がわかる

この世に生まれたその日から
快不快と好き嫌いは
世界をはかり 自分を守る
大事な物差し

日々の選択
日々のスパイス
好き嫌い無きゃ平坦な道
好む嫌うは生きる力

だめ?
選り好み?
文句を言うな?

好き嫌いする感覚
選り好みする判断力
黙って全てを受け入れない

好き嫌いと選り好み
それがあるから自分になれる
それがあるから
人生は面白い



「好き嫌い」

#133

6/11/2023, 11:00:32 AM


子どもの頃住んでいた街に
その名も「街」という喫茶店があった

昭和レトロそのまま
メニューにはクリームソーダに
プリンアラモード

わたしが好きだったのは
ミルクセーキ
ナポリタンとたまごサンドは
どちらかいつも悩んだ

隣には書店があって
買ってもらった本を手に
「街」に寄り
ミルクセーキを飲みながら 
本を読んでいた

大きくなったら
本屋さんか喫茶店で働いて
好きなものばかりに囲まれていたい
そう思ってた

連れて行ってくれた
父も母もいまは亡く
書店や喫茶店があった所には
ショッピングセンター

あの日の
街のざわめき 夕暮れの風
喫茶店のドアのチリンという音
わくわくした気持ち

戻らない失われた時
あんなにも幸せだったんだな



「街」

#132

6/10/2023, 11:04:45 AM


そんなこと出来るわけない
失敗するに決まってる
無理ムリ
世の中そんなに甘くない

夢見てないで現実を見ろよ
あなたは間違ってる
もっと賢くならなきゃだめ

…周りの人たちなんて
やる気を否定するためだけにいる
あるいは
やる気を試すためにいる

やり続けたらいいじゃない
本当にやりたいこと



「やりたいこと」

#131

6/9/2023, 11:06:53 AM


せっかくの夏休み、
どこにも行けないのは可哀想よ

入院中のお母さんがそう言った
お父さんは小学生の兄妹を連れて
旅行することを決めた 富士山だ

ボートに乗って釣りをしたり
おむすびを持ってハイキングしたり
洞窟探検したり 
焼きとうもろこしを食べたり

兄妹が寂しくないように、
つぎつぎと楽しいことをしてくれた

でも幼い妹は夜になると寂しくて
お兄ちゃんの怪談は怖すぎて
誰より早く布団をかぶって
お母さんを思いながら眠りにつく

目が覚めたら いつもより早い時間
暗くても富士山て見えるのかな
緩んだ浴衣のまま
カーテンを少し開けてみる

真っ暗で何にも見えないや…
そう思った瞬間
空の左端に ぽっと光がうまれた

それが夜明けだと気づくより前に
黒い大きな三角のかたまりが
闇の中から滲むように現れてきた

湖面に同じ姿を映した大きな富士
深い藍から濃い紫いろに変化する空
お母さんの好きな紫いろだ!
富士山も紫いろになってる!

いつも朝寝坊のわたしは
わずかの時間に全ての色彩が
知る限りの色が目の前に
塗り広げられていくこの朝を
瞬きもせず見つめていた

朝日があたためた空気が
白い雲を生み出していくころには
いつもの富士 いつもの青空

帰ったらお母さんに話すんだ
わたしだけが見た
特別の、
朝一番のできたての富士山の

すてきなすてきな色のことを




「朝日の温もり」

#130

6/8/2023, 10:52:55 AM



活気に満ちて 気持ちよく歩く
丘をのぼり またくだり
空の雲 草原の風

木々の中に入り込むと
空は見えないが
鳥の囀りが聞こえる

枯れ葉を踏みながら奥へ
森の香りを胸に吸い込む

ああ あの大きな木のところで
道は左右に分かれている
標識もない
土地勘もサッパリだ

戻ることは考えに無い
右も左もそう変わりなく見える
そう…多少左の道は
踏みならされているだろうか

今日のわたしは活気に満ちている
先のことはわからない
新鮮な驚きがありそうな
右の道に踏み出そう

ずっとずっと後になって
きっとこの場所を思い出すだろう

どんな未来であろうと
ここがはじまりの場所
踏みならされていない出会いが
わたしの人生を形造っていく



「岐路」

#129

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