「病室」
いつの間にか僕は、やけに綺麗な部屋に居た。
確か
"肝試しをする為に、友達と山奥の廃病院を散策していた"
という所までは覚えている。
ふとスマホを見ると、もうすぐ午前三時をまわる頃になっていた。
生憎、僕と友達は学生で、今日は平日である。
"早く帰らないと"
と、声をかけようとしたが、どこにも姿が見当たらなかった。
一応、探しに出掛けようと思い、扉に手をかけ、開けようとした。
だけど、開かなかった。
最初は、建付けが悪くて開きずらいのかと思って、勢いよく引っ張ってみたりしたものの、一向に開く気配がない。
僕は、得体の知れない部屋に閉じ込められてしまった、という訳だ。
仕方なく、周りを観察してみる事にした。
周りを見渡すと、どこもかしこも白一色、
例えるなら、手を付けていないキャンバスのような部屋だった。
中央には、真新しいベッドが1つと、
一般人にはよく分からない機材が山積みになっていた。
やっとの事で捻り出した結論は、
"ここがなにかの病室であり、前に人が居た"という憶測だった。
病室であれば、部屋が綺麗な事とよく分からない機材が多いことに合点が行く。
(執筆中)
「明日、もし晴れたら」
最近は何故か雨の日が多い。
「おかしいな、ニュースでは梅雨明けたって言ってたのに」
と、君は頬を膨らませて怒っている。
その様子を見て、僕は、可愛いな、なんて思っている。
あの子が言う通り、今年はやたらと雨が多い。
髪の毛はうねるし、湿気で暑いし、怒る気持ちもわかる気がする。
昨日も雨、今日も雨、こんなにも毎日雨が降るとなると嫌になる。
"まるで僕の心みたいだ"
ふと、そう思ってしまった。
我ながら自虐的で滑稽だと思う。
(書き途中です。)
「夏」
今年、最後の夏を迎える
時の流れは早いもので
気づいたらもう高校三年生
君に片思いして二年半
"今年こそは"を繰り返して
引けない所まで来てしまった
今を逃せばもう二度と戻れない
そんな事は分かっている
分かっているつもりだった
不安ばかり気にして
後回しにして
のちのち後悔するのなんて
分かっている筈なのに
言葉を飲み込み
苦しくて仕方ないのに
吐き出すことが出来ない
このままじゃいけない
取り返しのつかない事になる
きっと、高校を卒業したら
疎遠になってしまうだろう
立ち止まっている時間はない
刻一刻と迫る別れから
目を背けそうになる
これは多分試練だ
意気地なしの僕への
小さな勇気を握りしめ
眩い光に必死に手を伸ばすけど
足りない、まだ届かない
そんな事をしているうちに
君がまた遠ざかっていく気がする
それは嫌だ
咄嗟に君の手を掴んだ
不器用に言葉を紡ぎながら
君に愛を伝えた
"君の事が好きだよ"
余りにも途切れ途切れな告白
とても不格好で
それでいて純粋な言葉たち
君の笑顔は
まるで陽だまりの様だった
今年の夏は終わりを迎えようとしている
あの日見た花火は、どんな時よりも
美しく見えて、記憶の片隅で輝いている
色褪せることなく
「ここではないどこか」
揺蕩う命は何を見る
消えた昨日は夢を見た
産まれた今日は世界を知った
叶わぬ明日は過去を想った
君と僕は空を見上げ
終わりを迎えた
動かぬ体で何処へ行こう
あの日見た夢の続き
或いは
この世界の彼方に
大事な思い出を胸に抱き
僅かな光に看取られて
僕らは還る
此処では無い何処かへ
「半袖」
「あぁ、そういえば
今日から衣替えだっけ」
「そうだね、たぶん」
君との会話から始まる1日
僕はこの時が1番好きだ。
理由を問われたとしたら
きっと答えられないけど。
だけど僕はこの時間が
どんな事よりも大好きだ。
上手く説明は出来ないけど。
「暑いね、今日」
「ほんとだね、信じられない位に」
最近は季節の変わり目だからか
蒸し暑い日が続いている
熱中症になってはいけないと
今年はいつもより早めに
衣替えをする事になったらしい。
めんどくさい。と呟く君を横目に
僕は、眠っていた半袖に袖を通した。
「早くしないと遅刻になっちゃう」
「ゆっくりし過ぎたね、急ごっか」
もうすぐ夏が始まる。