未明

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6/28/2024, 7:48:58 AM

「ここではないどこか」

揺蕩う命は何を見る

消えた昨日は夢を見た

産まれた今日は世界を知った

叶わぬ明日は過去を想った

君と僕は空を見上げ

終わりを迎えた

動かぬ体で何処へ行こう

あの日見た夢の続き

或いは

この世界の彼方に

大事な思い出を胸に抱き

僅かな光に看取られて

僕らは還る

此処では無い何処かへ

5/28/2024, 11:39:16 PM

「半袖」


「あぁ、そういえば
今日から衣替えだっけ」

「そうだね、たぶん」

君との会話から始まる1日
僕はこの時が1番好きだ。

理由を問われたとしたら
きっと答えられないけど。

だけど僕はこの時間が
どんな事よりも大好きだ。

上手く説明は出来ないけど。

「暑いね、今日」

「ほんとだね、信じられない位に」

最近は季節の変わり目だからか
蒸し暑い日が続いている

熱中症になってはいけないと
今年はいつもより早めに
衣替えをする事になったらしい。

めんどくさい。と呟く君を横目に
僕は、眠っていた半袖に袖を通した。

「早くしないと遅刻になっちゃう」

「ゆっくりし過ぎたね、急ごっか」

もうすぐ夏が始まる。

4/30/2024, 2:20:57 PM

かつては楽園だった。

空はとても青く
優雅に花が咲き誇り
人々はふわりと踊りを踊った。

そんな、夢の様な場所だった。

ある日を境に、此処は廃墟と化した
変わりない日々が壊されてしまった。

まだあの日の地獄の様な光景が
脳裏に焼き付いていて、離れない。

劈く悲鳴と啜り泣く声
延々と、音を立て燃えさかる草原
非情にも殺されてしまった、無実の子供たち。

今まで、守り繋いできたもの
時間をかけて紡いだ、この景色ですら
この手から、いとも容易く奪われてしまったのだ。

私を含め、生き残ったのは十数人程度
勿論、子供たちは全滅。

当然、喜べるはずも無かった
跡形もなくなった故郷
未来を託すはずだった、子供たちの死。

あまりにも失ったものが大きすぎた。

深い悲しみに苛まれる者
魂が抜けたように、彷徨う者
絶望に飲み込まれて、死を望む者もいた。

もう二度と治ることは無い
深い傷を人々は負ってしまった。

私たちは無力だった。

楽園はもう無い
帰る場所も、安らぐ場所も無くなったのだ。

今は、生活も安定して
普段通りになってきてはいるが
決して、あの頃のようには生活できない。

そして、私も例外ではなく
いつか元に戻れば、と
未だに楽園の幻影を見続けている。

私たちの愛する故郷。

あそこは確かに、楽園だったのだ。

4/16/2024, 10:48:04 AM

この思いは、きっともう届くことはない。

あの日、世界で一番綺麗に散った君へ。

うだるような暑い日
君は、海に溶けて消えてしまった。

柔らかな黒髪をなびかせながら
心底、幸せそうに
それでいて、どこか物惜しそうに

まるで花びらのように
落ちていく君の姿が、脳裏に焼き付いた。

その瞬間恋をした、一目惚れだった。

君は僕に恋をしていた。

そして、僕もまた君に恋をした。

たった四秒間の逢瀬。

本当に悲しかった、ただそれ以上に
美しい、と思ってしまった。

僕の中で、悲しみと感動とが交差して
なんとも形容しがたい気持ちでいっぱいだった。

今までの中で、これ程までに美しいものを
見たことがあっただろうか。

散りゆく命は美しい、だなんて
国語の授業でしか習わないが
僕の頭の中はそれで埋め尽くされていた。

今では、寝ても醒めても、学校であろうと
君の事しか考えられなくなってしまった。

つまり僕は
もう居ない君に恋焦がれている。

もう手遅れで
きっとこの思いが届くことも無いけど。

僕は一生、君の事を想い続ける。

4/11/2024, 2:35:27 PM

僕は正直、あの日の事を後悔している
あの日言いそびれたあの言葉を。

友達だった君と付き合い始めて、約一年が経過した時で
これから先もこれが続くと思っていた。

でも違った
結論から言うと、恋愛関係は終了、別れた。

正直、なんか違うなって、わがまま言ってごめんって
友だちに戻ろうって、そう困ったように君は言ったね。

確かに、恋愛としては劣ってたと思うけど
愛情も信頼関係もそれなりにはあると感じていたから
少しだけ、悲しくなった。

実は、告白された時、少し期待していたんだ
もしかしたら、君の一番になれるかもって思ってたんだ
浮かれてた自分が馬鹿だったのかもしれない。

勝手に、自惚れて、浮き足立って、期待して
失望して、悲しくなって、ひねくれてさ
だけど、ずっと受け身だった自分も悪かったんだ。

むしろ君は、ずっと受け身でいた僕と
一年間も居てくれたなんて、なんて心が広いんだろう
しかも、ただ別れるんじゃなくて、友だちに戻ろうって
言ってくれたんだから、感謝するべきなんじゃないか。

だけど、やっぱりすんなり友だちになんて
戻れる訳が無かったんだ。

友だちに戻ってから、話す頻度も少なくなったし
遊ぶ機会だって無くなった
きっと前の関係には一生かけても戻れないんだと思う。

その事を考えると、友だちに戻ろうって言った
君に怒りが沸いてきてしまう
誰よりも優しい君の言葉に甘えているくせに
まったく本当に自分は最低な奴だとつくづく思うよ。

僕はいまだに、君の事を嫌いになれない
どうせ、元の関係に戻れないのならいっその事
言ってしまおうと思う
あの時、言葉にできなかった言葉を。

まだあの日は、分からなかったから言えなかったけど
僕は、君が好きだったよ。

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