貴方を殺すために私は生きています。
貴方が死ぬのを見ることと、
その死因は私が殺したからであるようにすることが
私の生きる意味です。
理由は分かりませんし覚えていません。
私にとってはどうだっていい事です。貴方が死ねば。
貴方は死なせません。私が殺すので。
生き地獄を体験してもらおうとかそんな事は考えていません。どうでもいいのです。私が殺せるのならば。
刃物に薬漬けに毒に縄に炎に氷に汚い空気の中に。
考え始めると止まりません。胸が高揚するのです。
「生きる意味」
目を閉じる。
瞼の裏に浮かぶのは、
こちらを振り向いて笑う彼の顔。
もう一度、彼に会いたい。
彼はあちらで元気にしているかしら。
また、あの星のように輝く笑顔を
皆に振りまいて、愛されているのかしら。
ただもう一度、流れ星のようにやってきて、輝いて、
そして去っていった彼を一目見たいだけ。
流れ星に願いを。ただ1つ。
彼にまた、一目だけでも会わせて下さい。
そんな叶わない願いは、
私の瞳から流れ落ちる星にとけてぽたりと落ちた。
「流れ星に願いを」
髪から
顎から
雫を滴らせて
玄関先に立っていた君に
タオルと湯気の立つお茶を渡して
切なくなった。
昨日、明日告白するんだと
弱々しく笑った君が滴らせた雫の中に
熱い涙が混じっているのを、
私は知っている。
「雫」
無色の世界に生きる君が
私に与えてくれた淡い色。
自分で見つけるまでは
この色で生きていかせてください。
「無色の世界」
残り1枚、
はらりはらりと散っていった桜の花びらに紛れて、
お前が最後の涙を1粒流した事を、
俺は分かっている。
ここで眠る俺のために
毎日舞う花びらに隠れては涙を落とし、
今日、これで最後だと前を向いたお前へ、
キスのひとつも落とせねぇ自分が恨めしいが、
そんなことしちゃ前を向けねぇかと
1つ諦め、
落ちない涙を残り1枚の花びらに紛れて落とした。
「桜散る」