私は祓い屋で
貴方はあやかし。
いくら愛し合っていたとしても
想い合っていたとしても
私が祓い屋をやめることはできないし、
にんげんをやめる事だってできない。
貴方も人を喰う事をやめたら死んでしまうし、
あやかしをやめることだってできない。
あやかしとの愛か
にんげんとにんげんの契約。
どちらかと聞かれれば
私は契約を選ぶだろう。
事実、
私はにんげんを選んだ。
貴方もそれが正しいと言って
はにかんだ。
でもそれは
貴方の死を表していて
それは嫌で
でも私が選んだのは契約で
どうしたら、
良いんだろう。
視界がぼやける。なんでだろう。
涙が流れているからだ。
私自身で
貴方を殺すことへの葛藤と
大好きな貴方と壁を乗り越える_間違ったことよりも
楽で安全な_正しい方へと流れた私の愚かさと
貴方への愛と
貴方への執着。
それがたった一雫となって
私の頬を伝った。
力を込めて
数珠を握りしめる。
貴方は少し
笑った。
貴方から真っ黒い煙と
真っ黒い血
あぁ
あぁあ
ごめん___
__なさい。
「力を込めて」
カーテンを開けると
顔をしかめて伸びをする。
のっそり起き上がったと思ったら
ガラガラ声なのにまぶしい笑顔を向けて
おはようって言う貴方。
何だか物語みたいだね。
そう言って机に置いてみた新聞。
置いてみたのは良いけれど、
テレビの猫特集に夢中で
新聞なんて頭から抜け落ちてる貴方。
週末はいつも、
カメラだけを持って
近所の公園をお散歩する。
お花と私。青空と私。私だけ。
私のことは写真を撮っておきながら、
自分は恥ずかしいよと遠慮する貴方。
どの貴方も穏やかで優しくて、笑顔だった。
何度でも
貴方の為にカーテンを開けるから。
もう一度そのガラガラ声を聞かせて。
ほら、早くしなきゃ、その声が私の中から
抜け落ちてしまう。
何度でも
貴方の為に机に新聞を添えるから。
もう一度猫特集に夢中になって。
ほら、早くしなきゃ、
そのはしゃいだ声が私の中から無くなってしまう。
何度でも
貴方と一緒にお散歩に行きたい。
今度は無理やりにでも2人で写真を撮ってやる。
ほら、早くしなきゃ
貴方と感じた風がどこかへ行ってしまう。
何度でも
何度でも
私は貴方と一緒に生きたい。
「過ぎた日を想う」
あの子と私を星座みたいに、繋げてください。
「星座」
上手く喋れるかな。
上手く笑えるかな。
わかる。
僕も今、君と同じ事で不安になってる。
だからさ、
喋らなくて良いし、
笑ってくれてた方がまぁ…嬉しいけど。
僕と、踊りませんか?
「踊りませんか?」
もし、顔も知らない貴方と巡り会えたら
嬉しい気持ちになるのかな。
がっかりするのかな。
いずれにしても
会ってみたい。の、かもしれない。
直接貴方の目をみたい。
貴方の顔を知りたい。
こんなちっぽけの画面じゃ伝わらない
この思い、伝えたい。
「巡り会えたら」