菜な子

Open App

私は祓い屋で
貴方はあやかし。

いくら愛し合っていたとしても
想い合っていたとしても

私が祓い屋をやめることはできないし、
にんげんをやめる事だってできない。

貴方も人を喰う事をやめたら死んでしまうし、
あやかしをやめることだってできない。

あやかしとの愛か
にんげんとにんげんの契約。

どちらかと聞かれれば
私は契約を選ぶだろう。

事実、
私はにんげんを選んだ。

貴方もそれが正しいと言って
はにかんだ。

でもそれは
貴方の死を表していて

それは嫌で
でも私が選んだのは契約で

どうしたら、
良いんだろう。

視界がぼやける。なんでだろう。
涙が流れているからだ。

私自身で
貴方を殺すことへの葛藤と

大好きな貴方と壁を乗り越える_間違ったことよりも
楽で安全な_正しい方へと流れた私の愚かさと

貴方への愛と
貴方への執着。

それがたった一雫となって
私の頬を伝った。

力を込めて
数珠を握りしめる。

貴方は少し
笑った。

貴方から真っ黒い煙と
真っ黒い血

あぁ
あぁあ

ごめん___
__なさい。


「力を込めて」

10/8/2022, 2:03:39 AM