それは夏の夜であった。
窓を閉じていても蝉の声が鳴り響き、寝るに寝れず、起きていた。
勉強をするにしても集中が続かず、
結局その日もいつものようにスマホを通して、顔をしらない誰かと会話をしていた。
当たり障りのない会話、くだらない会話をその日も繰り返していた。
大抵は仲が良い人と、ときにはしらない人も交えて
名前も顔もしらないから、現実よりも気軽に話しやすかった。
そんな会話も夜が更け、静かに沈みかけようとしたとき、
誰かが端からみればちっぽけな揺らぎが、大津波となって私を襲った。
いまもこれからも死ぬまで忘れないだろう。
数少ない友人と呼べる人のうち一人が自殺を試みたという話を
当時若かった私には受け止めきれないほどの衝撃であった。
私はいまも後悔している。
夕方に交わした最後の会話を
違和感を拾えなかった私の後悔が
いまだに波となって押し寄せてくる。
「君と最後にであった日」
『後悔』
私に人生最大の後悔はある
それは人には絶対に言えない後悔だ
その後悔という感情を抱くことさえ罪になるかもしれない
私はある時をきっかけに世界が崩れ落ちた。
常識だったことが非常識になり
親から与えられる愛は無償のではないこと
幼い私はなにも知らなかった
ただ現実から逃げてしまった
現実から逃げたことが罪じゃないならなんと言い表したらいいかわからない
目を瞑れば、きっと夢だと思っていたこと
家に帰ったらいつも通りの生活がそこにあると
でも違った。少しずつ壊れていった
一度ひびがはいったらそこからくずれやすくなるように
私は今も現実から逃げている
盲目のように夢だけを
知っていてもなお、もう選べない
もうあまりにも遅すぎた
できることはただ現実から目をそらすことだけ
盲目のようにただ彷徨うしかない
これが私にできる7才の私への償い
夢の世界を作り上げること
7才の私が消えるまで
『初恋の日』
後継者順位が低く、実質幽閉扱いとなっていた私に人として接してくれた男の子がいた。
その子は頼まれたら断れないくせに、極度のビビリで、薄暗い館にてよくべそかいていた。
それによく話しかけてきて、うざかった。
執事見習いのはずなのに、執事らしくない振る舞いをずっとしていた。
監視目的なのか、使えないから押し付けられたのか、よくわからないが、こっそり抜け出したときも、必ず着いてきた。
薄暗いところを通るときはよく怖がって立ち止まっていた。置いていくにしても、呼び戻されたら面倒なので、あきらめて執事らしくない男の子にてを毎回差し出した。
しばらくして、腐った王家を再建するという名目の革命計画の密告が寄せられた。
人々は私に都合のいい道具として関心が向けられるようになった。
男の子は泣かなくなった。
執事らしく、急に他人のように突き放されて、余所余所しさをかんじられた
わたしはどこか寂しさを覚えた。ずっと一人だと思っていたが、実際は一人ではなかったということに今さら知った。
無意識に恋心に似た何かを抱いた。
男の子の演技は見事なことであった。王、貴族をだまし、着々と亡命の準備を続けていたのであった。
男の子が差し出す手を女の子は受け取った。
それ以降の記録は残されていない
『明日世界が終わるなら』
人生で少なくとも一回は聞いたことのある言葉だろう。
ちょっとへそ曲がりな私は、こう考えるだろう。答えなんて決まっていないのに、終わりを見届ける人なんていないのに、
世の中には終わり方を決められているようなきがする。
ただ、折角最後ならまだ飲めないお酒を飲み、遥か遠くにいる友達とゲームしてそのまま、眠りたい
さらにいうなら、訪れることのない明後日の夢をみながら、ゆっくり沈んでいきたい。
今日はあなたの誕生日。
あなたに出逢えて本当に嬉しかった。
君の明るい笑顔に沢山救われて、明日も頑張ろうという気持ちに後押ししてくれた。
今日は5月5日、私にとって嬉しい日。
ヴァラク・クララへ
【君に出逢えて】