ゼラニウム

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それは夏の夜であった。
窓を閉じていても蝉の声が鳴り響き、寝るに寝れず、起きていた。

勉強をするにしても集中が続かず、
結局その日もいつものようにスマホを通して、顔をしらない誰かと会話をしていた。

当たり障りのない会話、くだらない会話をその日も繰り返していた。

大抵は仲が良い人と、ときにはしらない人も交えて

名前も顔もしらないから、現実よりも気軽に話しやすかった。

そんな会話も夜が更け、静かに沈みかけようとしたとき、

誰かが端からみればちっぽけな揺らぎが、大津波となって私を襲った。

いまもこれからも死ぬまで忘れないだろう。

数少ない友人と呼べる人のうち一人が自殺を試みたという話を

当時若かった私には受け止めきれないほどの衝撃であった。

私はいまも後悔している。

夕方に交わした最後の会話を

違和感を拾えなかった私の後悔が

いまだに波となって押し寄せてくる。
「君と最後にであった日」

6/26/2024, 10:29:14 AM