不完全な僕
コンベアの上で目が覚める。
周りを見ると、なにかの部品が落ちている。
それを見て他のやつは笑っていた。
出来損ないだ、出来損ないだって。
僕の部品だと決まった訳でもないのに。
僕はこうやって起きているというのに。
そんな時、君に出会った。
そうやって傷ついてきたから、あなたは優しいんだね
そう言ってくれた。
僕は気づいた。
君の優しさに。
そしてその理由に。
僕は彼女を守ると決めた。
優しさの足りない出来損ないから。
香水
あなたの付けたその匂い
決してあなたの匂いじゃない
あなたを捨てた何かを、私は愛せない
言葉はいらない、ただ・・・
好きな物を好きでいたことを
馬鹿にして
謝られたってどうでもいい
同じ目にあって、
「好き」を出せなくなってしまえ
突然の君の訪問。
もうたえられない。
つらくてくるしい。あいたい。あいたいよ…
ガチャ
「え、なんで…」
「LINE見てなんか辛そうだなって思ってきたけど」
「……ありがと。」
「とりあえず材料買ってきたから夜食作るわ。待ってて。」
「うん。」
泣きそうになった。
彼が辛い時は私が絶対に助ける。
そう心に決めた。
雨に佇む
「雨が好き」と言っていた。
汚いところを洗い流してくれる気がするらしい。
空は平等だ。
有象無象を気にしない。
だけど今だけは───
坂道を公園に向かって駆け上がる。
この公園は夜景が綺麗で、夜によく来ていた。
しかもここは、夕焼けも綺麗なのだ。
多分、近所でいちばん綺麗な場所だ。
橙が空を青黒く染める。
思いっきり息を吸い込む。もっと。もっと。
「約束したじゃんかーー!!!絶対守るって!忘れもしないって!
言質もとらせたくせに!ふざけんなぁぁ!!」
語彙が足りない。裏切ったやつに言う言葉が足りない。
「言ってたじゃん!アイス食べに行こうって!写真いっぱいとって、
アルバムを作ろうって!言ったじゃん!なんで!なんでぇ…」
なんでいなくなったの?突然いなくなるなんて、悲しいよ。
雨が好きだと言っていた彼は、私の涙を雨で拭き始めた。
周りから見えないように、誤魔化すように。
サラサラした細雨だった。爽やかで、優しくて。
ゲリラのような別れも、うねった私の頭も、流すように。
これが彼の答えなのだ。優しい彼の気持ちなのだ。
またひとつ彼のことを知れた気がした。
あの雨が、私のために降っているように感じたのは、気の所為ではないだろう。
私の頭も、時間も、悲しさも全て洗い流してくれた。
私も雨が好きだ。背中を押してくれる気がするから。