君の名前を呼んだ日
ずっと心にぽっかりと穴が空いたままで、会いたいとどうしても思ってしまう。今願ったところで過去は変わらない。
不幸な交通事故─殺人だった。なぜ酒を飲んだバカな名前も知らないじいさんに貴方の命を奪われなければいけないのか。真っ赤になった貴方の手がだんだんと冷たくなって、最愛の人が死ぬところを見た。2度と会えなくなってしまう…。本当に大切な人。降り始めた雨に貴方の生きた証が洗い流されていく。泣き叫ぶ事も出来ずに、ぼぅっとその光景を眺めていた。
あの時、もし君が先に行くのを止めていれば。もし一緒に行っていたのならば。その未来があるのなら、パラレルワールドでもマルチバースでも信じてやるのに…
君がいなくなってからもう数年経ってしまった。
動かない君の手を握ったまま、乗り越える事も出来ずに惰性で生きてきた。
今朝、食器棚を開いたら形見のコップが粉々に砕けているのを見つけた。
そういえば、強化ガラスは細かな傷でも突然割れてしまう事があるという注意喚起をどこかで見たことがある。
ここがもう、丁度いいのかもしれない。
君を探しに行こう。もし君を見つけられたら、そしたらその時はまた、君の名前を呼べるのだろう。
昨日と違う私 【月夜の化物】
砕いて、集めて、組み直して、
やめて、砕いて、捨てて、組み直す、
大丈夫、ゆっくりでいい、ちょっとずつ、
ちょっとずーつ、人間になるのは大変なことだから、
深い夜に、静かな月に、煙草の匂いに、
見て、聞いて、吸って、夜で充して、
少しずつ、人になっていく、
少しずつ、「僕」に成っていく。
好きになれない、嫌いになれない
好きな人を聞かれても
嫌いな人を聞かれても
誰の名前も出てこない
誰の顔も浮かばない
いいところも
悪いところも
誰にだってあるはずなのに
何でそんなこと聞くんだろう
静かな情熱 【私の好きな色】
「情熱といえば赤色」
という感覚が馴染み深いと思う
緑は調和や平穏
黄色は明るさ、希望や喜び
そして青色、冷静さ、賢さなど
合理的であるイメージが強いと思う
それは目的に向き合う上で確実に必要となる
目的目標のために手段を吟味し、
確実にゴールに近づいていく。
それは時に情熱と言える。
静かに燃え盛る情熱の炎。
それが青色だろう。
新しい地図
少し手を伸ばすと、そこには地図があって。
少し足を運ぶと、地図にはないお店がある。
大切なのは、座っていることではなくて
思いついたら立ち上がって、まず歩き始めること
もし、本当に困った時には、地図を開いて、
目的地をみて、自分を見て、また歩き出すことだと思う