私の日記帳
1日ひとつは良かったことを書く。
そう決めて書き始めた日記帳。
だが、私の意思は弱いもので。
いつしか出来ていたのは、遺書だった。
向かい合わせ
右と左は向かい合わせ
上と下は向かい合わせ
前と後は向かい合わせ
白と黒は向かいあわせ
だけどどれも隣り合わせ
やるせない気持ち
上手くいかない。
勉強、ゲーム、運動、イラスト、ファッション、料理
右腕を大きく振りかぶった。
目の前にはいつも使ってる枕。
横からぬいぐるみが見ている。
なぜこっちを見るのか分からない。
そもそも見ていないだろう。
ぬいぐるみだから。
それでも何かを訴えてくるような、何かが見ている。
視線が気になって落ち着かない。
右腕を下ろして、電気を消した。
海へ
学校帰り。今日から夏休み。
急に海に行くことになった。
着いて荷物を投げ捨てながら砂浜を走る。
叫びながら走って飛び込む。
波に足をすくわれながらも、思いっきり振り返って笑う。
「1回濡れちゃえば何も怖くないから!!」
今を全力で生きる。
今を振り返って、尊さを感じるのが青春なのだ。
裏返し
あの人は勉強熱心だけど少し抜けてて、そんなところが可愛くって。
運動は苦手だけど、飛んできたものから私を守って怪我したりしてた。
あの人は優しくって、面白かった。
だけど定期テストの時しか隣になれなかったし、
何を話せばいいかわからなくて、その時しか上手く話せなかった。
難しかった問題とか、苦手な教科の話、自信のある教科の話。
テストあるあるを話して、テストないないをつくった。
特に、裏を解き忘れて散々な結果だった話は、
リアクションが大袈裟で面白かった。
その時にはもう、あの人を好きになっていた。
毎日が楽しくって、学校に行くのが楽しみで。
勉強会に誘ったり、映画を見に行ったり。
この人と一緒にいたいって、思っていた。
そしてついに、告白をしたのだけれど、砕けてしまった。
それからは気まずくて、話せてない。
今日はテストの日だった。
でもやっぱり話せなかったし、諦めてもしまった。
なぜなら、印刷ミスのせいでであるはずだった裏面が、
真っ白だったからだ。
私は静かにペンを置いて、突っ伏した。