「麦わら帽子」
今年もこの季節がやってきた。
荷物を持って、家を出る。
この時期を待っていた。
幼なじみに会えるからだ。
「ただいまー帰ってきたよー」
「あっ、おかえりー」
「じゃん!これみてよー」
「わぁーー!ひまわりだ!よく私の好きな花覚えてたね!!」
「そしてこれもー!」
「え゙ーー!麦わら帽子にひまわりの飾りついてるーーっ!!!すっっっっっごい可愛いーーー!」
「喜ぶと思ってさー。2つともあげるよー」
「えっ!いいの!!太っ腹じゃーん!」
「実は初給料貰ってさ、ちょうどいいから記念含めて買ったんだー」
「うーわやるなぁー」
「ちゃんと社会人してるだろーー?だから心配すんなよ?こっちもこっちで頑張ってるからよ。」
「心配してること前提かよー!まぁでも、うまく行ってるみたいで安心したよー」
「昔俺すっごいビビりだったから心配してもしょうがないけどなぁー」
「ほんとほんとー!蜘蛛いるだけでビビりまくってて情けなかったよー?」
「お前にいっつも助けられてばかりでさぁー。あんがとな。」
「何よ改まっちゃってー」
そうやって他愛もない事を言う。
「じゃ、そろそろいくわ。」
「えーもう?まぁ暗くなってきたしねー。」
「またな」
「うん、また来てよ。待ってるから。」
そうして俺はその場を後にした。ちゃんと瓶にひまわりを指して水も入れてきた。盆休みに来ると何となく会える感じがしていいんだよなぁ。
そうしてようやく実家に帰る。
「ただいまー。」
終点
何から始まり、何に終わるのか。終わった先に何があるのか。
大爆発が起き、宇宙ができた。
宇宙の果てとは?きっとただの壁だ。その先には、違う宇宙。
銀河の果てとは?きっと流星群だ。その行先は、違う銀河。
太陽系の果てとは?きっと太陽による吸収だ。その先には、爆発だ。
では、私たちの果てとは?
孤独?その先は、虚無?
忘れられること?その先は、自分でも思い出せなくなること?
死体?その先は、炭素?
「私たち」の果てを知るためには?
別に宇宙も銀河も太陽系も理解してないけど、果ての想像はできる。
理解度は重要では無い。
誰か答えてくれないか、「私たち」の果てを。学問の根底を。
上手くいかなくたっていい
僕は一度、生徒会をやってみたいと思っていた。
だけど選挙なんて…人前で話すのは苦手なんだよなぁ。
「上手くいかなくたっていい。挑戦することが大事なんだよ。」
「失敗して傷ついたらどうすればいいのさ。」
そう返すと彼は黙ってしまった。
しばらく考え、また彼は口を開いた。
「しらね。」
「…は?」
何を言ってるんだこいつは? 意味がわからない。
「その時考えようぜ。傷つくかどうかなんて気にしてたら挑めねぇし。始めてもねぇのに終わりの先考えるだけ無駄じゃね?」
…ほんと何言ってんだか。
「……じゃぁ応援演説者って役割あるんだけどやってくんね?」
「何やるか分からんがまかせろ。」
そうして僕らは帰路に着いた。
テーマ「喋よ花よ」
喋よ。世界を知り我々を導く者よ。
どうか私を案内してくれないか。
私たちはどこへ向かうべきか。
何を信じ、何を探せばよいのか。
花よ。世界の記憶を司る者よ。
どうか私に見せてはくれないか。
私たちが産まれるまでのその記憶を。
世界の奇跡。真実の愛を。
彼らの生きる世界は言った。
正解などないのだと。
だから蝶は逃げるのだと。
だから花は絶えないのだと。
テーマ 「最初から決まってた」 / 題名 「最期くらい俺が決める」
車に跳ねられた。
一週間意識がなかった。
悪運なんてレベルじゃない。
受験は終わってた。一浪してまで受けようとしたのに。
なにがあっても、これが最後だったのに。
「生きてただけ良かった!嬉しいよ!また話せて!!」
泣きそうになりながら親友は言う。
「そうだね。」
話の波長を合わせる。
運が悪すぎた。
きっと神のせいだ。
俺の人生をめちゃくちゃにした神を、生きてたってだけで許すほど、俺は優しかっただろうか。
いや、そんなことは無い。
俺の努力を踏み躙ったんだ。才能が人より無い俺の努力を。
失望した。
願掛けなんてするんじゃなかった。
あの時の俺はどうかしていた。
クソ野郎に願いを乞う程、落ちぶれていたようだ。
なぁ?神よ。
……はぁ。
もう、疲れた。
できることはやったさ。
限界まで追い込んだ。
それでもだめだった。
きっともう、最初から決まってたのさ。
運って、そういうもんだろ?
だからもう、何もかもどうでもいい。
次にかけるさ。
じゃぁな、クソ野郎。
二度と顔見せんな。