「麦わら帽子」
今年もこの季節がやってきた。
荷物を持って、家を出る。
この時期を待っていた。
幼なじみに会えるからだ。
「ただいまー帰ってきたよー」
「あっ、おかえりー」
「じゃん!これみてよー」
「わぁーー!ひまわりだ!よく私の好きな花覚えてたね!!」
「そしてこれもー!」
「え゙ーー!麦わら帽子にひまわりの飾りついてるーーっ!!!すっっっっっごい可愛いーーー!」
「喜ぶと思ってさー。2つともあげるよー」
「えっ!いいの!!太っ腹じゃーん!」
「実は初給料貰ってさ、ちょうどいいから記念含めて買ったんだー」
「うーわやるなぁー」
「ちゃんと社会人してるだろーー?だから心配すんなよ?こっちもこっちで頑張ってるからよ。」
「心配してること前提かよー!まぁでも、うまく行ってるみたいで安心したよー」
「昔俺すっごいビビりだったから心配してもしょうがないけどなぁー」
「ほんとほんとー!蜘蛛いるだけでビビりまくってて情けなかったよー?」
「お前にいっつも助けられてばかりでさぁー。あんがとな。」
「何よ改まっちゃってー」
そうやって他愛もない事を言う。
「じゃ、そろそろいくわ。」
「えーもう?まぁ暗くなってきたしねー。」
「またな」
「うん、また来てよ。待ってるから。」
そうして俺はその場を後にした。ちゃんと瓶にひまわりを指して水も入れてきた。盆休みに来ると何となく会える感じがしていいんだよなぁ。
そうしてようやく実家に帰る。
「ただいまー。」
8/11/2023, 11:04:43 AM