穏やかな日差しに風が透ける。
いつかのはじめましてが言えなくて。
まだ匂いを隠しきれていなかった青天が、
早とちりして出すぎた肌寒さが心を埋めていく。
まるで風情を楽しんでいるようだ。
細い節々の一つ一つに命が宿る。
朱色と紺と鈍色が混じり合う。
鼻腔を掠める秋の香りに深呼吸した。
[秋恋]
白に白以外の何かを入れても白には戻らない。
まるで免罪符のように軽々しく使われる。
綺麗事の御託を並べ物語は回る。
言葉も知能も全て意味が無い。
結局言うだけ言って実行はしない。
人生というのはそういうものだ。
本当にそういうものか?
何も付け足さずありのままを愛すことはできないのか?
白と偽る泥色がその瞳を埋めてしまう前に。
[愛する、それ故に]
小説を書いた。
限りなくエッセイに近いもの。
好評だったそれは、
きっとみんなからしたら想像できないだろう。
フィクションがノンフィクションになる瞬間。
いつか黙って埋められていくくせに。
1万年1億年先の世界でさえ消えることは無い。
退屈が満ちた世界は本物だろうか。
管理者。
肩書きはなんでもいい。
生とは何なのだろう。
[静寂の中心で]
空中に投げてみた。
誰かが僕を見てくれるかもって。
怒られちゃうかな。
投げるのはダメだったかな。
でも僕がやればなんでもダメになっちゃうから。
結局正しいかなんて分からない。
何も分からないんだ。
少し疲れただけだから。
ちょっとだけ。
ほんの一瞬だけ。
[今日だけ許して]
昔から不器用だった。
自分の内を深い深い精神の奥底に追いやった。
多くの人が僕を暴いていく。
そして一つの作品を命を懸けて作り上げる。
でも僕はそれを望んだわけじゃない。
フェルメールもゴッホもレオナルドも。
道具として扱う以外の使い道を彼らは知らない。
僕も僕自身をどうされたいかなんて分かるわけない。
でもいつかって望んでる。
沢山笑おう。
沢山幸せになろう。
僕の声は届かないけれど。
[誰か]