空高く五線譜のようにはためいた。
もう届かないと思った光。
それがこんなにも輝かしい。
見上げる人々の瞳に、
届けきったあの子たちの瞳に、
反射して映った己の瞳に。
めいっぱいのキラキラが詰め込まれている。
圧倒的歌姫のようになれるかは分からない。
ただ皆の光を信じたくて。
皆の光に答えたくって。
深く息を吸い込んだ。
[君が紡ぐ歌]
瞬いた。
輝いた。
たしかにあの一瞬。
心臓が流れたみたいだ。
釘付けになった隕石が散る。
雲の中に霧散して弾けた。
心の奥も共に爆ぜた。
この景色が見たくて僕は立っていたんだ。
星の軌跡をなぞって一緒に行こう。
Commit suicide.
[消えた星図]
男は死んだ。
私は燃え盛る屋敷の中佇んでいた。
たった五文字。
人間ならば一度は言ったことのある言葉。
何故あの男が私にその言葉を囁いたのか。
回るはずのない思考を放棄した。
どこかで聞いたことのある唄。
驚いて振り返ると男の傍に倒れている“人形“が目に入った。
音の発生源はこの人形だ。
よく作られたぜんまい仕掛けの人形。
かつてあの男が愛していた人形。
誰かがぜんまいを回したのか。
それとも自分で回したのか。
心なしかその唄は大きくなっていってる気がした。
壊れた機械のようにるりら、るりらと。
大きくなるにつれ彼女の息が浅くなる。
壊さなければ。
謎の使命感が彼女を包んだ。
震える手はたしかに引き金に指をかけていた。
発砲音はしなかった。
彼女は人形を強く蹴り上げた。
それでも尚人形は唄を奏でる。
燃え盛る炎に突っ込んだとしても。
ゆっくりゆっくりと音が壊れ始めた。
しっかり目に焼き付けた。
孤独な男の亡骸と、
ぜんまい仕掛けの人形を。
[LaLaLa Goodbye]
さあ行こう。
僕は微笑んだ。
君を連れて行ける腕はないけど。
この足で運んでみせるよ。
君の顔は見えないけど。
君の視界をクリアにしてあげる。
僕は一人じゃどこにも行けない。
でも君となら行けるんだ。
この世の果てまで。
[どこまでも]
世界を手に入れたかった。
一人称視点でしか進まない人生。
ゲームのように上手くは行かないけれど。
静かに暮らすことも出来ないけれど。
頑張ろうって言葉を信じられるように。
生きてる自分を労いたくて。
1回だけ。
ほんの一瞬だけ。
世界をくれないか。
いつか見た強欲な少女の物語のように。
誰かコスモスを1輪持ってきて。
[1輪のコスモス]