衝撃音と共に欠片が舞った。
グラスが割れてしまうのはこれで何度目だろうか。
考え事なんてするもんではないな、なんて思った。
どうしようもないことを妄想して悦に浸っていた。
円環をなしたループとやらの外にいる我々。
コンマを刻むごとに増えていく。
夢とはその数値を繰り返して覚えていくものだ。
そして覚えた先で人間は___
暴走し始めた思考にやっと気づき首を振る。
眠っている横顔にかかった髪を払いもせず眺めていた。
どんな記憶を反芻しているのだろう。
起きたらきっと、忘れてしまう。
[君が見た夢]
あ、死のう。
ふと思うには暗い想いだった。
今までの自分は死んでも後悔しなかっただろうか。
まともに生きることを勧めるくせして束縛は強まる。
結局人間は本能でしか自分を証明できない。
性欲の傀儡になろうが周りを淘汰しようが本能なのだ。
A どうしたの?
B 死にたい。
A 死にたいの?
B いや、生きたい。
嫌いなものは捨てて好きなものは籠に入れる。
そんな価値観を眺める第三者が自分だと思い込んでいた。
神に成りたかった。
[明日への光]
遥か彼方から眺めていた。
結末がどうであれ結局それはそうなのだ。
なんて短い生だろうか。
何かを成すには余りにも短いくせして、
何もなさぬには余りにも長すぎる。
30億秒の時間が全て泡となり消えるのだ。
幾度となく過ぎていくこの時間が今はただ、
余りにも苦しかった。
[星になる]
人の声が聞こえる。
今僕は演じている。
その演劇も今日で終わりだ。
上がった幕が降りるのは必然
心残りなんてない、と言ったら嘘になる。
もっとここに居たかった。
もっと笑っていたかった。
たった十数年。
されど十数年。
今度は君が逢いに来てね。
[遠い鐘の音]
湿った空気が吐き出される度白く染まった。
幾度と無く夢見た世界は跡形も残さない。
その太陽に焼き尽くされたい。
会いに来て。
僕の体も心も溶かして。
溺れるほど遠くへ連れて行って。
[夜空を超えて]