甘いものは食べられないと言った。
君の食べるものは全て甘い香りがしてくる。
酷いかもと思って直ぐに謝った。
でも君は受け入れてくれた。
今日は特別な日。
いつもは食べるのを眺めるだけだった砂糖菓子。
肉食なんだと拒んだチョコレート。
淡々と食べていると君は嬉しそうに見つめてくる。
甘くて美味しくてしょっぱい。
最後の晩餐かなって考えた。
[sweet memories]
風が過ぎていった。
真正面から突っ込んで行った。
何も無かったかのように弾けた。
飛ばされた解答用紙。
彼方へ羽ばたいて見えなくなった。
それは一瞬だった。
笑えてきて、腹を抱えた。
清々しい程の不幸に喜んだ。
[風と]
泥だらけの中君は僕を見つけた。
酷く震えていた君は僕を抱いて走ってた。
次に目が覚めたのは直してくれるところ。
君は嬉しそうに微笑んでいた。
君はいつも僕のそばに居てくれた。
少しだけ振り返ってみる。
君と沢山歩いた跡が連なっている。
もう既に分かっていた。
君と僕は違うって。
君の欠片を集めて抱き締めたい。
君と歩いた道は輝いていた。
永遠に続く無の中僕は君の想いと共に回っていく。
[軌跡]
始まりはちょっとしたきっかけだった。
からかうように接したり、
友達として仲良くしていた。
他の子達がお似合いだって言ってきた。
目が合うと笑う。
でも胸の高鳴りなんてなかった。
感情が空っぽになってきて、
冷たい僕の指が触れる前に居なくなる。
君は前を見据えて駆けていく。
少し寂しいと思った。
少し苛立ちを覚えた。
でも何も感じない。
そう言い聞かせたかった。
[好きになれない、嫌いになれない]
夕暮れ夕焼け朝のよう。
黒い影が上空を飛び回る。
逢魔が時の闇が追いかける。
やっと醒めた現実に、
おかえりと微笑み頬をなぞる。
深夜零時帯の光の中。
蛍光灯に照らされ独りきり。
ゆっくり顔を上げ星を見る。
ゆっくり目を閉じ夢を見る。
飛び込んだ光が瞬いた。
見開いたその隙間から、
見るのも嫌になるくらいの光が突き刺さる。
遥か彼方の恒星は高く笑った。
[夜が明けた]