さくら ゆい

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7/18/2024, 10:41:55 AM

【遠い日の記憶】

この間は演劇の稽古の日で、いつもの場所で集まって仲良く稽古をして休憩していた時のこと。

「今の子って小さい頃何してたんだろうね?そういや千葉さんは小さい頃何してたの?」

話題は今の子、つまり私は17歳なのでそれくらいの年の子達。そんな話になっても仕方ないとは思う、今の大人と子供じゃ全然何もかもが違うのだから。

「そうですね〜」

続きを話そうとしたその時、遠い日の記憶が頭の中で再生されてしまった。

私が幼少期から住んでいるのは片田舎で、よく夕方になれば公園ではキジバトというフクロウのような声がする鳥が鳴いており、近所にはお寺とお墓とお地蔵さんと坂しか無くて、移動するには少し歩いてバスや電車に乗らなければ駅にも行けず、商業施設も駅に行かなければ無いくらいな土地であった。

そして小学生くらいの時からどこもかしこもグループができていて他所の住民は邪魔な存在。
そして私の事を好いている同級生なんていないのだからいつも1人で遊んでいたような気がした。

だから誰かと遊んだ記憶なんて私には残っていないが、聞かれてしまえば答えるしかない。

「そうですね友達と商業施設に出かけたり、ゲームとかしてたと思いますよ」

私はそんなことなどした事は無いのに嘘をついた。
嘘でも、大人たちが満たされればそれで構わない。







7/17/2024, 11:12:04 AM

【空を見上げて心に浮かんだこと】

今日は学校が精神的に嫌になり「精神的に辛いので休みます」なんて言える訳がどこにもないので、自分でそれなりの理由を作り電話を掛けて休み、平日の誰もいない外に出た。そもそも通信制の生徒であったので学校があろうとなかろうと平日の誰もいない外にいるのは変わらなかった。

「今日も鬱陶しいほど晴れてるけど、どうせこういう時青春だのエモいだの意味わかんないことほざく馬鹿がいるんだよ」

青すぎる空を見上げて自分がそう呟くのは、中学生の頃に青すぎる空を見上げ、その下を歩いている自分に対して『青春だな、エモいな!』と言った変な教員がいたから。

当時はキツくて楽しいなんてなくて、誰に相談しても『青春だから』『最終的にはエモく感じるよ〜』の一言で片付けられる。だから青すぎる空も青春って言葉も馬鹿馬鹿しく感じるんだよ。
それは通信に入学した今も変わらなくて、青春とか青すぎる空とか全部馬鹿馬鹿しい。

でも通信にいってから青春だとかが消えて、別に苦痛じゃなくなった。キラキラな女子高生とかどうでも良かった。演劇して、バイトして、演劇見に行くためにバイト代出して名前しか知らない土地に夜行バスで行って演劇見て笑って泣いて。

これが1番青すぎる空見て青春とかエモいとか言われながら生きるより好きなんだよ多分。

7/15/2024, 10:57:00 AM

【終わりにしよう】

『終わりにしよう』

そう言った姉に手を引っ張られ、私は地元の道を言われるがままに駆け抜けている最中だ。

「終わりにしようっていきなり何!?」
「そんなの後にして! 今はどこかに行かなきゃ!」

姉の口からハッキリ聞けず、私は姉について行くままだった。

「ねえ本当にどうしてなの!?」

すると姉は止まって私にこう言った。

「この村は明日ダムの底に沈む、そうなったら私達はそこで人生を終わらせなければならない事になる。 だから私達は村での生活を終わりにしようと逃げているの」

そんな風に言われて私は固まる、なぜそのことをなぜ先に知らせないのか。けれども覚悟は出来た。

「覚悟は決めたよ」

私はそう告げて、また姉と逃げるために走り続けた。

7/15/2024, 10:05:33 AM

【手を取り合って】

最近、親の転勤について行き、新しく引っ越した土地で私はとある人に出会った。

その人は良くも悪くも目立たない人で、いつもどこかの片隅にいるようなタイプだった。でも目立たないだけの人かと言われるとそうではなく、誰にでも優しい人だった。

それを私が感じたある日のこと。

「友梨ちゃん、お野菜あげる」
「嬉しい、ありがとうございます!」
「良いんだよ、みんな手を取り合って生きてるんだからこれくらいしなきゃね」

その人は自分で野菜を育てている人でご近所にあげてもあげても余りすぎてしまったから私にもくれたらしい。そんな事しなくてもいいのになと思った。

またある日、私が散歩をしていたら、その人は道に迷ったおばあちゃんを助けていた。
そしておばあちゃんにお礼を言われると、また私に言ったのと同じ言葉を掛けていた。それを見た私は誰にでも優しいのだと、その人のことを再認識した。
自分がどれだけ人に冷たかったのかを認識することにもなってしまったが。

けれどもその場面を見たあの日から、私も手を取り合って人と生きていくことに決め、地域の人と手を取り合って生きている。そして平和に生きれている。

ありがとう、近所の農家のお兄ちゃん。

7/14/2024, 9:17:25 AM

【優越感、劣等感】

この世には優越感と劣等感というものが存在し、そのふたつに浸る状況は人それぞれ。
ある人は学校が休みの時には優越感を覚え、何かが上手く出来ない時には劣等感を覚える。またある人は普段食べれないものを食べている時に優越感を覚え、何かを無駄にした時に劣等感を覚えるそうだ。

私の優越感は1人で地元より少し遠い場所にある高校に入学して逃げれたこと。劣等感は見下されていたこと。

私は小さい頃からずっと見下されながら生きてきた事がこの人生の中で劣等感を抱く時の最大の理由。
見た目をバカにされ、発する言葉を真似され、名前をバカにされ、更には志望校までバカにされた。
担任だって私の志望校をよく知らないのにも関わらず『ガラが悪いのでやめた方がよろしいかと』なんて親の前で堂々と発言したのを今も覚えている。

やめろなんて言うならば、私が地元から逃げようとしているこの意味のわからない状況を何とかして欲しかった。でも何もしないのだから黙ってて欲しかった。

結局地元から逃げるという気持ちが前を行き、私は高校は地元ではない場所にした。

そして私はそんな優越感に浸れることができて幸せだよ、誰も私のことを知る由もないのだから。
部活も始めて、新しい大人にも出会ったけど、まだその人達が私の味方なのか分からないけどそれが分かるまで関わっていくことにしたんだ。
みんなも私と頑張って生きていこうね。


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