さくら ゆい

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【遠い日の記憶】

この間は演劇の稽古の日で、いつもの場所で集まって仲良く稽古をして休憩していた時のこと。

「今の子って小さい頃何してたんだろうね?そういや千葉さんは小さい頃何してたの?」

話題は今の子、つまり私は17歳なのでそれくらいの年の子達。そんな話になっても仕方ないとは思う、今の大人と子供じゃ全然何もかもが違うのだから。

「そうですね〜」

続きを話そうとしたその時、遠い日の記憶が頭の中で再生されてしまった。

私が幼少期から住んでいるのは片田舎で、よく夕方になれば公園ではキジバトというフクロウのような声がする鳥が鳴いており、近所にはお寺とお墓とお地蔵さんと坂しか無くて、移動するには少し歩いてバスや電車に乗らなければ駅にも行けず、商業施設も駅に行かなければ無いくらいな土地であった。

そして小学生くらいの時からどこもかしこもグループができていて他所の住民は邪魔な存在。
そして私の事を好いている同級生なんていないのだからいつも1人で遊んでいたような気がした。

だから誰かと遊んだ記憶なんて私には残っていないが、聞かれてしまえば答えるしかない。

「そうですね友達と商業施設に出かけたり、ゲームとかしてたと思いますよ」

私はそんなことなどした事は無いのに嘘をついた。
嘘でも、大人たちが満たされればそれで構わない。







7/18/2024, 10:41:55 AM