ほかほかごはん

Open App
1/28/2024, 3:19:42 PM

『街へ』


今日も、君に会いにいく。












深夜2時。



親が寝たのを見計らって、少し大きめの鞄を持ち静かに家を出た。




どこへ行くかは決まっているので、慣れた道をスタスタと進んでいく。









〖あ、いたいた!おーい!〗







【しーッ!もう、うるさくしたら誰か見られちゃうよ?!】





ここは家から少し離れた隣街。



この街にある小さな池の周りの花畑で、君と出会った。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その日は僕が受験勉強に追われてた時期だった。



上手くいかないイライラと、親からの重い期待。



それに耐えられなくなって、僕は行く宛てもなく夜中に家を出た。



ふらふらと歩いてると、あっという間に隣街に来てしまっていた。



そこで見つけたのが君。




一目見た時、何かの映画のワンシーンかと思ったほど、君は綺麗だった。



真っ白なワンピースを着ていて、長めのさらさらした黒髪が少し風になびいている。


周りの景色も相まって、僕は思わず、




〖…きれい…。〗




そう口にしてしまったほど。









それからというもの、君と会いたいがために僕は夜中に家を出ていくようになった。
















〖ねぇねぇ、〗



【んー?】




〖君はなんでここにいるの?〗




【…内緒かなぁ笑】









君は自分の事を何も話してくれない。




どこに住んでるか、何歳なのか、いつからここに来ているのか、

それどころか、名前すらも、"内緒"の一点張り。





それが僕は不思議でたまらなかった。




〖ちょっとぐらい教えてくれてもいいじゃーん〗



【えー?笑でも、何も知らない方がなんとなく新鮮味あっていいじゃん?】



〖なにそれw〗








そんな何気ない会話をして、夜明けを待つ。





日が少し出てくると、僕は帰る準備をする。









〖もうそろそろ帰んなきゃ、親にバレちゃう笑〗





【そっか…】





〖…?〗






【あのね、、、多分、会えるの今日が最後なんだ。】












〖え?〗






一瞬、訳が分からなかった。







【とにかく、もう会えないの。ごめんね。】






〖ちょ、ちょっとまってよ。どういうことッ?〗





【…ごめんね。でも、ずっと見守ってるから。】





【大好きだよ、















お兄ちゃん。】





〖ッは?〗





そう言った瞬間、君は消えてしまった。







混乱しながら家に帰ると、親が玄関で待っていた。








「あんた、こんな時間にどこ行ってたのッ?!」








怒られてるのは分かっていたが、僕はそれどころではなく、親を無視して自室に戻って行った。











やっぱり、何度考えても分からない。




あの子はなんだったのか。





僕は幻を見ていたのか?





お兄ちゃんってどういうことだ?




















その後母親から聞いた話なんだけど、僕がまだ2歳くらいの時に妹が産まれる予定だったらしい。


でも妹は生まれることなく亡くなってしまった。


俺が小さい頃だったから、記憶が無いのも納得出来た。




霊的なことに詳しい友人に話をしたら、

「きっとお前に会いたいって未練が残ってて、それが叶ったから成仏したんじゃない?」

との事だった。


なんにせよ、俺の妹があんなに可愛かったなんて。


生きていたらアイドルにでもなってそうだったな。



そう思いながら、








俺は涙を流した。












ー作者の話ー

今日のテーマは "街へ" でしたね。

書いてるうちにだいぶテーマからズレてしまった気はしますが、まぁ地球規模で見たら誤差なので(

気にしないでおきましょう笑

だいぶ長くなってしまいましたが、楽しんでいただけたでしょうか?


それではまた次回お会いしましょう。またね。

1/27/2024, 12:59:22 PM

僕が通ってる中学校は、歩いて30分くらいで着く。


いつも通りの通学路。





けど今日は、なにか違った。









カン、カン、カン、カン、、、、



踏切が鳴る。



それを横目に見ながら通り過ぎようとした時、ある少女が目に入った。





「ッ……タッタッタッタッ」



「ッはっ?」



少女は踏切が鳴っているにも関わらず、線路の中に走っていったのだ。





よく見ると、同じ学校の制服。

鞄は踏切の隅に置いてあった。





電車が近ずいてくる。












「…ッガシッ」










ガタンゴトンガタンゴトン








……










「はあッ…はぁッ…危ないだろッ?!」



何とか直前で少女の手を引き、2人とも助かった。

ここは人通りが少なく、僕が手を引いてなければ彼女はきっと死んでいただろう。



数分経って、やっと彼女が口を開く。







「……なんで助けたの。」




「…は、?」




「私、死にたかったのに。消えたかったのに。なんで、、」




「…君、僕と同じ中学だろ?それに、目の前で人が死にそうなのに、助けない方がおかしい。」





「…それってほんとに私を助けたの?」






「え、、?」



「私がなんで死のうとしたかも知らないくせに、勝手に私の心の中に土足で入り込んでこないでよッ…」



















ー作者解説ー


今日のテーマは〖優しさ〗。

自殺しようとしてる女の子と、それを止めた男の子を書いてみました。

皆さん、優しさってなんだと思いますか?

確かに、男の子がした事は、きっと世間的には正しいことなのでしょう。

でも、女の子にとって、その行動は本当に正しい優しさでしょうか。




この後2人はどうなったんでしょうね。

暇な時にでも、優しさについて考えつつ、この物語の続きをあなた方が完成させてみてください。






それではまたお会いしましょう。

1/26/2024, 1:38:41 PM

夜中の11時。

深夜徘徊という名の散歩に出かけた。

ここら辺は町外れの地域で、人はほとんど居ない。
たまに、仕事帰りのスーツを着た人を見るくらい。

どこかへ行く宛てもなく彷徨っていると、
小さな公園に、1人の少女がいるのが薄っすらと見えた。

一瞬、無視しようとしたが、街灯の灯りを頼りに彼女を見ると、服がボロボロなことに気がついた。
それと同時に、服の隙間から見える無数の痣。

普通の人であったら、きっと気味が悪いと思うほど酷い姿だった。

でも僕は、何故かそんな彼女に吸い寄せられるかのように、

気がついたら声をかけていた。




「…どうしたの?」


声をかけてから、急に話しかけたらやばいかも。そんな不安が襲ったが、彼女はこう言った。


「家出してきたの。虐待もいじめも、もう嫌になって。全部投げ出して死んでやろうって思って歩いてたらここに着いたから…」


僕は一瞬、次になんて言っていいか分からなくなった。

そうなんだ。だと軽すぎるだろうし、、、

なんて考えてると、

「…ごめんなさい。こんな話して、忘れてください…。」

僕より2回りほど小さい彼女は、きっと僕よりもたくさん辛い経験をして、助けて欲しかったのだろう。

そう考えたらたまらず、






「…うちに来ませんか?」







そう口にした、君と僕が出会った日。





〖初作品〗