ほかほかごはん

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『街へ』


今日も、君に会いにいく。












深夜2時。



親が寝たのを見計らって、少し大きめの鞄を持ち静かに家を出た。




どこへ行くかは決まっているので、慣れた道をスタスタと進んでいく。









〖あ、いたいた!おーい!〗







【しーッ!もう、うるさくしたら誰か見られちゃうよ?!】





ここは家から少し離れた隣街。



この街にある小さな池の周りの花畑で、君と出会った。







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その日は僕が受験勉強に追われてた時期だった。



上手くいかないイライラと、親からの重い期待。



それに耐えられなくなって、僕は行く宛てもなく夜中に家を出た。



ふらふらと歩いてると、あっという間に隣街に来てしまっていた。



そこで見つけたのが君。




一目見た時、何かの映画のワンシーンかと思ったほど、君は綺麗だった。



真っ白なワンピースを着ていて、長めのさらさらした黒髪が少し風になびいている。


周りの景色も相まって、僕は思わず、




〖…きれい…。〗




そう口にしてしまったほど。









それからというもの、君と会いたいがために僕は夜中に家を出ていくようになった。
















〖ねぇねぇ、〗



【んー?】




〖君はなんでここにいるの?〗




【…内緒かなぁ笑】









君は自分の事を何も話してくれない。




どこに住んでるか、何歳なのか、いつからここに来ているのか、

それどころか、名前すらも、"内緒"の一点張り。





それが僕は不思議でたまらなかった。




〖ちょっとぐらい教えてくれてもいいじゃーん〗



【えー?笑でも、何も知らない方がなんとなく新鮮味あっていいじゃん?】



〖なにそれw〗








そんな何気ない会話をして、夜明けを待つ。





日が少し出てくると、僕は帰る準備をする。









〖もうそろそろ帰んなきゃ、親にバレちゃう笑〗





【そっか…】





〖…?〗






【あのね、、、多分、会えるの今日が最後なんだ。】












〖え?〗






一瞬、訳が分からなかった。







【とにかく、もう会えないの。ごめんね。】






〖ちょ、ちょっとまってよ。どういうことッ?〗





【…ごめんね。でも、ずっと見守ってるから。】





【大好きだよ、















お兄ちゃん。】





〖ッは?〗





そう言った瞬間、君は消えてしまった。







混乱しながら家に帰ると、親が玄関で待っていた。








「あんた、こんな時間にどこ行ってたのッ?!」








怒られてるのは分かっていたが、僕はそれどころではなく、親を無視して自室に戻って行った。











やっぱり、何度考えても分からない。




あの子はなんだったのか。





僕は幻を見ていたのか?





お兄ちゃんってどういうことだ?




















その後母親から聞いた話なんだけど、僕がまだ2歳くらいの時に妹が産まれる予定だったらしい。


でも妹は生まれることなく亡くなってしまった。


俺が小さい頃だったから、記憶が無いのも納得出来た。




霊的なことに詳しい友人に話をしたら、

「きっとお前に会いたいって未練が残ってて、それが叶ったから成仏したんじゃない?」

との事だった。


なんにせよ、俺の妹があんなに可愛かったなんて。


生きていたらアイドルにでもなってそうだったな。



そう思いながら、








俺は涙を流した。












ー作者の話ー

今日のテーマは "街へ" でしたね。

書いてるうちにだいぶテーマからズレてしまった気はしますが、まぁ地球規模で見たら誤差なので(

気にしないでおきましょう笑

だいぶ長くなってしまいましたが、楽しんでいただけたでしょうか?


それではまた次回お会いしましょう。またね。

1/28/2024, 3:19:42 PM