雷鳥໒꒱·̩͙. ゚

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4/10/2023, 10:55:33 PM

―誰よりも、ずっと―

テスト返却のとき、
自分の答案を覗き見てきた男子に
学年トップの成績であることを公開されて
微かに不服そうな顔をする彼女の姿があった
彼女は、周りの人、いや、クラスメイトの殆どに
頭がいい、優等生だ、さすが天才だね、など、
たくさんの褒め言葉を向けられていた
ありがとう、とか、そうでもないよ、なんて
優しい微笑みを浮かべて対応していたが、
“天才”と評されたときだけは、
あまりいい顔をしていなかった
いつもクラスではあまり目立たない君
でも誰にでも優しい笑みを浮かべて接し、
分け隔てなく人と関わっている
きっと、学校で彼女が不満を漏らすのを
聞いたことや、辛そうな顔を浮かべるのを
見たことがある人は、いないだろう
でも、僕は知っている
彼女が、人からは見えないところで
誰よりも、ずっと努力を重ねていることを
その、職員室全体に知れ渡る程の
彼女の聡明さ故、教師陣からの期待も
ものすごく厚いだろうにもかかわらず
一切の弱音を吐いていない彼女のことだ
きっと僕らでは計り知れない程の苦労、
それに匹敵するくらいの努力をしているはずだ
天才とは、一般的に、“生まれつき”備わっている、
きわめてすぐれた“才能”、またはその持ち主の
ことを表す言葉だ
全く勉強せずの結果なのであれば、それは、
天才、と表すのが相応しいだろう
でも違う
彼女は生まれつきの才能ではない
所謂、自分自身の努力の賜物だ
だから天才、という言葉で片付けるのは
存外であり、彼女としてもあまり嬉しいことでは
ないのだろう

4/9/2023, 11:06:02 AM

―これからも、ずっと―

これからも、ずっとあなたと
変わらない幸せを感じていたい
永久不変はみんなの願い

4/7/2023, 1:59:42 PM

―沈む夕日―

濃い藍に飲み込まれるように
沈む夕日と相対的に
夜がどんどん近づいてくる

どれだけ西に逃げたとしても
いずれは追いつかれてしまう

追いつかれると私は
空気に押しつぶされてしまう

その空気の呼び名は

孤独感だったり
喪失感だったり
虚無感だったり

劣等感だったり
罪悪感だったり
焦燥感だったり

日や時期によって色々

そしてそいつらが
私を殺しにかかってくるのは
決まって夜
月が顔を出す頃

布団を頭から被っても
いくら堅く目を瞑っても
そいつらは私をボロボロにする

ようやく眠りにつけても
そうあまり時間の経たないうちに
そいつらがテーマの悪夢を見て
夢の山場を迎える直前に目覚める
言うまでもなく最悪な目覚め

それが1晩のうちに何度も
だからもう数年前から
十分な睡眠を取っていない

だから私は沈む夕日に祈る
どうかまだ私の上で輝いていてください、と
神頼みしかしない私の祈りなど
叶うはずもなく
だから今日も
沈みゆく夕日をじっと見つめる
私は夜が嫌いだ

4/7/2023, 6:42:08 AM

―君の目を見つめると―

君の目を見つめると
頭の中がふわふわとしてきて
何も考えられなくなってきて
視界の端が段々と霞んできて
立つことも儘ならなくなって
体の力がスっと一気に抜けて
糸を切られた操り人形みたく
頭から倒れてしまう

そこまでの記憶はあるのに
そこからの記憶は全て
消えていて

目が覚めると倒れた場所とは
また別の知らない場所で
ぼーっと突っ立っている

そこまでがセット

君の目を見つめると
いつもこうなる

わかっているのに
何度も繰り返してしまう

気づけば
君の目を見つめている

そんな僕は恐らく
君の意志に支配されている

だって僕はもう既に

僕の抜け殻を差し出すことに
雲の上に居るかのような
不思議な心地良さを
感じてしまっている

4/6/2023, 1:06:58 AM

―星空の下で―

そして約束の日
空は見事に澄み切っていて星が綺麗だった
再会した彼女は前より大人びた感じがして
迷いのない真っ直ぐな瞳が美しかった
少し話したあと、星空の下で僕はこう切り出した
『あのさ、大事な話が、あるんだ』
「なに?」
ふと真剣味を帯びた空気
先程よりも冷たく感じる夜風
そして僕は小箱を取り出して
彼女に向けて小箱を開けた
中に入っているのはまるで
星空を閉じ込めたような輝きを放つ、
ダイヤモンドの指輪
『煌めきのような人生の中で
君に出逢えて僕は本当によかった
…僕と、結婚してください』
その瞬間、僕らを優しく包む静かな空に
輝く数多の光が放射線状に流れ落ちて
消えていった
僕らはもう一人じゃない

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『RPG/SEKAI NO OWARI』より着想

end

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