『平穏な日常』
俺は今、幸せだ。
愛する家族が居て、凄く気が合う良い親友が居て、最近知り合ったが美人な彼女も居て。
本当に幸せだ。夢のようだろう? 夢なら覚めないで欲しい。
『雄也〜! 起きなさーい! 朝よー!』
俺は高校生なので面倒だと思いつつも学校に行く用意をする。
そしてブレザーを取りに2階の自室から一階へ降りる。
その時
『雄也〜学校行こ〜』
俺の彼女が家まで迎えに来てくれた。最高か?
準備を整えて彼女と共に学校へ行く。
A教室に着き、彼女は別のクラスなのでそこで別れる。
『おいおい、また彼女と登校か? ラブラブだねぇ』
教室に入ると、俺の1番の親友が話しかけて来た。
『あんまり揶揄うなよ。恥ずかしいだろ?』
そんな返事をしつつ、チャイムが鳴ったので席に座り、放課後になるまでしっかりと授業を受け、彼女と共に家に帰る。
ああ、最高過ぎる。これが『俺の理想の人生』だ。
そう思った瞬間、急に景色が変わり、いつもの自室の天井が見えた。
またこの夢か。『俺の理想の人生』の夢。
覚めてしまったのなら、早く会社へ行く準備をしなければ。
『僕』に親友も彼女も、家族も居ない。
コミュ障な僕に友達も、彼女も出来る訳無い。
そして両親を事故で亡くし、その現実に耐えきれず、その日の夜からこの夢を見るようになった。
理想までは求めない。ただ、平穏な日常を過ごさせて欲しい。
まあ、そう願ってももう遅いのだが。
『愛と平和』
君は愛と平和と言われて何を思いつく?
僕は『愛とガッツと根性で!世界に蔓延る悪を討つ!』を思いつく。
……今『うわ、懐かしー!』となったそこの君。やるやん(?)
まあそれは置いといて。
僕は愛と平和と聞いて思いつくのは『幸せな結婚』だね。
アニメじゃないよ。そのままの意味だよ。
まあ幸せな結婚を実現するのは難しいかもだけどね?
愛し、愛され、喧嘩などはあるかもだけどちゃんと仲直りをし、残りの人生を幸せに過ごす。
中々良いとは思わないかい?
勿論これは理想さ。でも理想を創るのが人間だろう?
君たちも考えて見てくれ。きっと楽しくなるだろう。待っているよ。
『過ぎ去った日々』
今日、俺達は高校を卒業する。
この3年間は色々あった。
体育祭、文化祭、休みの日に友達とどこかに出かけたり、放課後にファミレスなどで雑談をしたり。
でも、そんな日々も、今日で終わりを告げる。
4月から俺も、友達も、一度も話した事の無いクラスメートも、それぞれの未来に向かって歩む。
『よ! 卒業式になんで校舎裏で黄昏てんだよww』
『少し、遡ってただけだ。過ぎ去った日々を』
『なんか重くねぇか? 空気が凄いぞ?』
『気にするな。すぐ戻る。2つの意味でな』
『そうか。この後打ち上げだからみんなが出発する前にはちゃんと戻ってこいよ?』
『ああ、行けたら行く』
『お前がそう言って外せない用とか無い時は来なかった事無いの意味わかんねぇよな。まあ良い事だけどさ』
そう言って俺の3年間の友達は他のやつらの元へ戻って行った。
過去へは戻れない。俺にはそんな能力は無いから。
なら、未来へ目を向けよう。
今日が終わり、みんな解散し、それぞれの道を歩み、でもまた会えたら。
その時は、酒でも飲みながらゆっくりと遡ろうじゃ無いか、過ぎ去った大切な思い出を。
『お金より大事なもの』
やあ、諸君。はろーえぶりわん。
今日は君達に聞きたい事があるんだ。
君達はお金より大事なものと言うのを考えた事があるかな?
愛情? 青春? 命? それは人によって千差万別だろう。
そんな事を言っている私もまだ答えは出ていない。
どうなんだろうね? 上の3つなのか、はたまた別の答えが出てくるのか。
是非、考えて見て欲しい。そして、大切にするんだよ?
『それ』を
『月夜』
私は今、学生の頃に通っていた学校の屋上に居た。
扉の鍵の複製なんて容易に出来る。複製が無理でもピッキングだって出来る。というか練習した。
良い子のみんなはこんなことしちゃ駄目だよ? 『俺悪い子だから〜ww』も禁止ね?
冬の凍りつくような冷たい風が肌を刺す。
上を見上げると夜の闇の中に次が輝いている。
『ふふ、ふふふふ。あははははは!!』
何故か、笑いが込み上げてきた。とても良い気分だ。歌でも歌おうかな?
今からする事は決して良いことでは無い。気分が良くなる事でもない。
ただ、この世か、解放される。解き放たれると考えただけで清々しい気分だ。
『世界よ! 何故私から全てを奪った! 私が何かお前らにしたか?! 家族は病気で死に、愛する彼氏には浮気され、高校の時からの親友とも絶交された!』
雨が降っていないのに頬に水が触れた。悲しい、苦しい、そんな気持ちで一杯になる。
『失ったトラウマが影響して仕事は上手くいかないし、挙げ句の果てには体調を崩して休むと言ったら理不尽に辞めさせられた』
考える事も放棄したくなる。まあ、その時はすぐ来るが。
『本当になんで……? 私は普通に生きたかっただけなのに……』
まあ、もう良い。何もかも。今日で終われるんだから。
『じゃあね、世界。私はずっと恨み続ける。たとえあなたが謝ってきたとしても、この思いは消えない。いつか、復讐するから』
そう言い残し、私は落ちた。