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『平穏な日常』

 俺は今、幸せだ。

 愛する家族が居て、凄く気が合う良い親友が居て、最近知り合ったが美人な彼女も居て。

 本当に幸せだ。夢のようだろう? 夢なら覚めないで欲しい。

 『雄也〜! 起きなさーい! 朝よー!』

 俺は高校生なので面倒だと思いつつも学校に行く用意をする。

 そしてブレザーを取りに2階の自室から一階へ降りる。

 その時

 『雄也〜学校行こ〜』

 俺の彼女が家まで迎えに来てくれた。最高か?

 準備を整えて彼女と共に学校へ行く。

 A教室に着き、彼女は別のクラスなのでそこで別れる。

 『おいおい、また彼女と登校か? ラブラブだねぇ』

 教室に入ると、俺の1番の親友が話しかけて来た。

 『あんまり揶揄うなよ。恥ずかしいだろ?』

 そんな返事をしつつ、チャイムが鳴ったので席に座り、放課後になるまでしっかりと授業を受け、彼女と共に家に帰る。

 ああ、最高過ぎる。これが『俺の理想の人生』だ。


 そう思った瞬間、急に景色が変わり、いつもの自室の天井が見えた。

 またこの夢か。『俺の理想の人生』の夢。

 覚めてしまったのなら、早く会社へ行く準備をしなければ。

 『僕』に親友も彼女も、家族も居ない。

 コミュ障な僕に友達も、彼女も出来る訳無い。

 そして両親を事故で亡くし、その現実に耐えきれず、その日の夜からこの夢を見るようになった。

 理想までは求めない。ただ、平穏な日常を過ごさせて欲しい。

 まあ、そう願ってももう遅いのだが。

 
 

3/12/2024, 8:33:33 AM