マカロニサラダの妖精

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9/11/2023, 11:30:29 AM

【カレンダー】
_死は生の逆じゃない。延長線なんだ。
故に、死に意味を求めるな。

「幼馴染の英智のそんな考えに僕は励まされました。

僕達は数年前、一人の女性を巡り絶縁したのです。

その女性が亡くなった英知の妻、ソラでした。

ソラの死を機に僕達は時々会うようになりました。

英知の部屋のカレンダーにはソラとの予定や記念日、

写真が貼られていて、本当に胸が痛みました。

ソラは、英知を選んで幸せだったということに。

はい。それが動機です。2人を許せなかったんです。」


僕は絶対に許さない。

英知を殴って、殴って、殴ってやりたい。

だけど、2人には愛する子がいる。だから、

僕が英知の受ける罰もついでに受けてやる。

英知にソラを託したのは間違いだったけど、

間違いでもソラは幸せだったんだよ。

僕はカレンダーから剥がした2人の写真を握りしめた。









9/8/2023, 11:20:23 AM

【胸の鼓動】

絵里ちゃんは打ち明けてくれた。

養子である自分に何も言わず医療費を出してくれる

家族に感謝している、と。

だけど絵里ちゃんはいつも家族に申し訳なさそうだ。

そんな絵里ちゃんは死神の僕にも優しい。

僕を友達だと言ってくれた。微笑んでくれた。

だから、

残された時間を出来るだけ幸せにしてやりたかった。

だけど現実は残酷だった。

病院に立てこもった男の囮として

家族は絵里ちゃんを見殺した。

更には彼女の死を悲しむ善良な家族を装った。

優しい彼女の最期を見守ったのは死神の僕だけだ。

彼女の胸の鼓動が沈む時、

無いはずの僕の胸の鼓動がふつふつと昇る気がした。

9/7/2023, 10:59:51 AM

【踊るように】

その女は踊るように交差点を駆け回っていた

青白い顔で、目を開いて笑いながら…

僕はどうしようもなく女が気になり話しかけてみた

「君!何故そんなに楽しそうなんだ?」

女は目を細め、汗を垂らしながら語り始めた

「私の方が上なのに!あの子が私より先に結婚なんて
許せないから結婚式めちゃくちゃにしてやったの!」

女は興奮のあまり、その後は意味不明な言葉を

発するだけで詳細は聞くことが出来なかった

しかし、これだけは分かる

女は見落としている

「君はえらく自分本位な生き物なんだね。
だけど、こうは思はないかい?その女性、
自分を見下して来た人をわざわざ結婚式に呼ぶかな?
ちゃんと女性の顔は確認したの?」

それを聞くと女は、一瞬驚いた顔をした

すると今度は僕の周りを行ったり来たりして、

遂には大きな声で泣き出し始めた

「君、落ち着いた方がいいよ。その様子だと、
結婚はもちろん、君に幸せなんて来ないよ。」

僕はそう言うと青白い顔で目を開いて笑いながら

踊るように去っていった


9/6/2023, 11:13:15 AM

【時を告げる】
私は時計と話せる、いわゆる変わり者だ

今日、時計の友達を何処かに落としてしまった

私は鼻の下に汗の水滴を貯め、1時間程探していた

安い時計に時間と労力をかけるなんてバカだと

分かっているが、私はこの時計に固執していた

だが、あまりの暑さに私は疲れ果てたその時、

母から電話がかかってきた

「時計、家だよ。どうせ今まで探してたんでしょ?」

そうだよ…あぁ、良かった…だけど、

だけど、それ以上に、複雑な気持ちがあると気付いた

「持っていこうか?」

優しい母はそう言ってくれた でも、

「もういいや。今ならまだバイト間に合うし」

当たり前だけど電話越しの母は心底驚いていた

だけど、

本当はもうずっとこうしたかったんだ

多分私は、いつの間にか大人になってしまってたんだ

時計の友達に、別れの時を告げよう

それと、本当は君の声なんて聞こえないんだ

9/4/2023, 10:57:52 AM

【きらめき】

志田くんを、5年経った今でも覚えている。

幼稚園と小学校が同じで最後に会ったのは中一の夏。

近所の花火大会で偶然会った時以来会ってないよね。

志田くんに褒められた浴衣、

予定もないのにずっと予定を求めているんだ。

5年前の花火なんて覚えてないけど、

花火を指差す志田くんの細くて綺麗な指。

花火の音に掻き消されない程のあの笑い声。

花火を移してきらめきの宿ったあの瞳。

あのきらめきに今も焦がれている。

あの頃の私には勇気が無かった。

だけど、もし戻れたら…

いや、もし戻れても何にも変わらんやろうな…笑








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