君の奏でる音楽
コーヒーの香りで目を覚ます。
彼がカタコトと淹れているのが聞こえる。
微睡む中でそれはまるで素朴な音楽のようだ。
奏でられているそれらはもうすぐ終わる。
おはようという彼の言葉と共に。
麦わら帽子
日差しが焼けるように熱く、吹く風も熱をはらんでいる。
帽子だけでは足りなかったか。
そう思いつつも足は止めず、被っている麦わら帽子を風に飛ばされないように手で押さえる。
道は黒く熱を持ち、空は雲一つ無い。道の両端に咲く向日葵はギラギラと降り注ぐ光を纏っている。
近所へのお使いにしては過酷である。手にぶら下げた西瓜の紐が食い込んで痛む。その腕も日光を浴びてヒリヒリし始めた。
早く置いて帰ろう。
またも吹いた熱風に対し麦わら帽子を押さえつつ足を早めた。
終点
揺れる中でウトウトと舟を漕いでいる。遠距離通学とはいえ、電車に乗ってさえしまえば後は寝てれば終点まで乗せてってくれるので楽なものである。
いつもはラノベなり漫画なりを読み耽るのだが、今日は部活が大変だったので疲れて夢の中である。
……あれ?止まった?
しばらく電車が止まってたので目を開ける。確かに自分が降りる駅、終点である。
立ちあがろうとした、その時。
ぷしゅー
そう音を立ててドアが閉まってしまった。何やらアナウンスしているが驚いていて聞こえない。
うそ?もしかして、このまま車庫行き?
困ったことになった。車庫に行ったら出られるのだろうか。それともこのまま朝まで放置だろうか。
そう考えている内に電車が動き出した。上り方面に。
車庫に行くなら下り方面なので、どうやら車庫ではないらしい。
少しして、次は○○とのアナウンス。1上った隣駅に行く模様。
よかった、折り返し運転か。
ほっと息をついたのだった。
上手くいかなくたっていい
上手くいかなくて悩んでも、よくよく考えたら上手くいかないことばかりである。
上手くいかなくたっていいというより、やはり上手くいかないのだなという諦めである。
なかなか、お題通り書くのは難しい。
蝶よ花よ
原典を忘れてしまったのだが、いつぞやの宮中で足を開けっぴろげて寝ていた猫に、はしたないですよ。と注意をする話を読んだことがある。
蝶よ花よと大切に育てられるのも幸せかもしれない。しかしそれが本人に向いているのか、猫の本分が自由気ままであるようにその子に合う別の接し方があるのではないかと。
子育ては難しい。正解などどこにも無く、子どもは移り行くように変わり育っていく。前回の対応が今回も上手くいくとは限らない。
それでも模索し日々進んでいく保護者の方々に敬意を