『眠れないほど』
あなたの仕草
あなたの声
あなたの言葉
思い出すだけで愛おしい
あなたの格好
あなたの姿
あなたの存在
脳裏に浮かぶだけで心が踊る
眠ってしまえば
思い出しているこの気持ちが遮断されてしまう
朝が来ればまた忙しさで
あなたのことだけを思い浮かべることが出来ない
だから眠りたくなくて
ずっと考えてしまう夜
眠れないほどにあなたを想ってしまう
2023/12/05
(現実の恋でも2次元への恋でも当てはまることだと思うの)
『光と闇の狭間で』
光にも入れず
闇にも入れず
中途半端に生きる私に
手を差し伸べてくれる人はいた
同時に拒絶する人もいた
どっちも選べない私は
上手い方便を使って中途半端に生きる道を選ぶ
だけど本当は
どっちかに入りたいと願っているのかもしれない
葛藤する私に
同じ狭間で生きる人は言う
「真ん中でも良いじゃないか。第三の世界だよ」
結局その言葉が心地良くて
今の道を逸れることはしないのだ
2023/12/03
(創作)
『距離』
これは、歴史に埋もれたどこかの奥方様の話です。
私が語りますは今から500年前のことです。
とあるお方の姫君が、そこそこのお城を持つ殿方にご正室として迎え入れられました。
今から見れば結婚というイメージから幸せなことのように感じますが、ご正室というのは謂わば政略結婚。そこに愛はなく、顔も性格も知らぬ殿方に嫁ぐなど不安でしかなかったと思います。
しかしながら、姫君はそれを悟られないように振る舞うのが得意でした。
ちなみに私は姫君が幼少の頃よりお側でお仕えしてしている名もなき忍。
共に見知らぬ土地に参ったのです。
姫君……もとい奥方様はそれは鉄仮面の如く、表情を変えませんでした。
城の者共は一切笑わぬ奥方様に「愛想がない」など色々口にしておりましたが、私にはわかるのです。
それは自衛であったと。
奥方様は嫁いでからだんだんと殿に心を奪われてしまったのです。
しかし殿は寵愛しているご側室様を抱えられており、ご正室である奥方様には目もくれていません。
奥方様は私に語っておりました。
「私は家同士の繋がりや政のためだけにいるお飾り。役目を果たせれば何でも良いのです。あのお方の心は私には贅沢すぎます」
奥方様は表情を崩さず過ごすことで、気持ちを隠すように耐え忍んでいたのです。
忍である私には何も出来なかった。
夫婦であるのに奥方様の片思いは、例え同じ城に住んでいようとも例え義務で殿が寝床に来ようとも距離を感じさせるものでした。
一生このまま終えるのだろうかと思っておりましたが、転機は訪れたのです。
奥方様が玉のように可愛い女の子を生むと、殿はバカがつくほど生まれた姫を溺愛なさったのです。
毎日毎日会いにくる度に、姫のことで奥方様のお話になったことが幸いしたのでしょう。
奥方様の貼り付けていた鉄仮面が壊れ、笑みを見せるようになりました。
それに殿が心を奪われたようなのです。
それから殿が戦でお亡くなりになるまで二人は仲睦まじく、私から見ても一度近づいた距離が開くことはなかったのです。
……なぜ私が500年前のことを語るかって?
そんなことはどうでも良いじゃないですか。私は影に潜む忍。
私のことは気にせず忘れてくださいな。
2023/12/02
(創作)
『永遠に』
この世界は永遠に続くのだろうか。
私が生まれる遥か前から同じ空を見ている人類が、私が死んだあと何百年何千年と同じ空を同じように見ているのだろうか。
形あるものはいつか壊れるというが、空も海もいつか壊れてしまうのだろうか。
時々そんなことを考える。
ノンフィクション 2023/11/02
『紅茶の香り』
君は言った。
「紅茶の香りがするハンドクリームが色々あるけど、やっぱり私はブラックティーが一番いいな」
と。
君がよく手に塗っていたブラックティーの香りがするハンドクリームのせいで、僕はストレート紅茶が嫌いになった。
紅茶の香りを嗅ぐたびに君を思い出し、あの頃の思い出が蘇る。
最後に別れた悲しい瞬間も思い出す。
君のせいだ。
君のせいで、僕の人生にいつまでもいつまでも君がいる。
僕だけあの頃から抜け出せない、君の人生に僕はいない。
紅茶香りが憎い。
君が憎い。
嫌いだ。君が嫌いだ。
創作 2023/10/27
(別に紅茶の香りでなくてもいいのだけど。においの記憶を書きたかった。ちなみに私はストレート紅茶大好きです。)