由梨子

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2/6/2023, 2:37:07 PM

時計の針

いつも身近にいるきみは、チクタクチクタク、チクタクと、私に、ワクワクを、くれる。

いつも身近にいるきみは、チクタクチクタク、チクタクと、いつもの幸せに、ちょこっと砂糖をかけてくれる。

私は今日も、きみをみて、チクタクチクタク、チクタクと、大好きな、ただいまの声を、待ってるの。

2/5/2023, 3:24:40 PM

溢れる気持ち

「わたくしはね、感謝しているんだ」

隣に座っていた中年くらいのおじさんが急にしゃべりだした。
遠出からの帰り道、俺はたまたま通りかかった公園のベンチで、近くの自販機で買った水を飲んでいるところだった。急になんだと思ったが、とりあえずこちらに話かけている様子ではないので、無言を決め込む。

「今日が、何事もなく、訪れることにさ」

(急に何を言い出すんだ…?)

「君も、そう思わないか?」

「え?は、は、はい…?」

おぉ…!?話しかけてきた…。
反射的に返事したものの…どうすれば。この人、初対面の俺にむかってなんの躊躇もなく話しかけてきたのだが…?無理!俺氏、コミュ症発動。
どうしよ、あぁ無理!無理無理無理無理!
帰る!話なんて出来ません!
俺はすぐさま立ち上がった。

「おぉっと。ちょっとお話ししましょうよ」

「…な、なんなんですか。あ、あぁ貴方は」

「いやなに、通りすがりの、ただのおじさんですよ。最近は君くらいの年代の人と話す機会がなくてね。だから、ちょっとだけでも…」

「いやぁ!俺、この後家で課題やらないといけないので!し、しし…失礼します!」

「え?いや、まって」

テクテクテクテク…

「…」

「…うん。まぁ、喋るの苦手そうだったし、仕方ないかな。よいしょっと」



足早に、家まで帰ってきた。早く歩いたことと、急に他人に話しかけられたことで、かなーーり疲弊した。

「ふぅ、全く…話なんて…こっちは何もないっつうの」

まぁ、無事に家には着けたので、安心。
俺は、玄関の扉を開けた…



次の日の夕方、公園に足を運ぼうと、歩いていた。俺は昨日、自分のとった行動に、少し反省をしていた。やっぱり、おじさんの話を聞けばよかったなと。何か、今後の人生についてアドバイスを貰えたり、面白い話を聞けたのではないかと思ったのだ。ああいう時に、テンパって頭真っ白になっちゃうのは、俺の悪いところだ。…やっぱり、心残りだ。

「今日、もしあのおじさんがベンチにいたら、勇気を出して話かけよう。そうしよう」

公園にきた。そして俺は。



絶句した。


「…え?」

一瞬。目を疑った。

目に写る今の惨状が、とても現実だとは思えなかったからだ。

パトカー、そして

「ベンチが、ベンチが…」

無かった。昨日まで、そこにあったはずの、木の葉で陰っていた、ベンチが、跡形もなくなくなっていたのだ。
野次馬の声が聞こえてくる。

「昨日、大変だったわね」

「そうそう、まさか人が、刺されたなんてねぇ」

刺さ、れた?人が刺されたと言ったか?

「ベンチで休憩中だった男性が、病院に搬送されて…」

「最近物騒な事件が多いわねぇ…気をつけないと」

「…」

俺は、何も言えずにいた。

嘘だ。そんなこと、ありえるのか。

こんな残酷なことがありえるのか。

おじさんの顔が脳裏に焼き付いて離れない。離れない…!

「わたくしはね、感謝しているんだ」

やめろ…やめてくれ

「今日が、何事もなく、訪れることにさ」

…俺は、走った。息を切らして走った。



ニュースになっていた、殺傷事件。男が、中年位の男性を鋭利物で刺して殺害した、と。亡くなった男性は…間違いなくあの人だった。動機は、会話の最中口論になり、むかむかして刺した。らしかった。あの時、俺が一緒に雑談できていれば…



俺は、この日を境に、人とキチンとコミュニケーションを取れるようになる為、色んな人に話しかけた。学校でも、家でも、とにかく会話をする様に心がけた。勿論、上手くいかない。けど、もう、嫌なんだ。やっておけばよかったと思うのは。嫌なんだ。だから、頑張るんだ。この溢れる、後悔の気持ちを、胸に。


2/4/2023, 1:23:28 PM

Kiss

ここに、扉がある。全く開かない扉がある。苦しい。辛い。嫌。嫌いだ。自分の声がこだまして、扉は永遠(とわ)に閉じたまま。このまま開かず、この全てへ篭りっきりになるのかなと、私は私を傷つける。もう私の全てはぼろぼろだった。

いつ頃だろう。ふと、私の声が呼びかけた。先に、何かが視えた気がした。
「大丈夫。大丈夫だから。私は、一人じゃないから。私には、私がいるから。私を、大好きな私が、ここにいるから。だから…私を…私を助けて」
どうしたことか、前が、静かに、静かに、水色に泳いだ。
私は、ぼろぼろな全てを抱え、その扉へ、優しく、ありがとうと言うように、Kissをした。

2/3/2023, 11:22:20 AM

1000年先も

川辺に大きな岩があった。とても立派で、とても綺麗に汚れた岩。私はその岩に登ってみる。そしたら、色々な景色が見えた。仲良く水遊びしている人がいたり、キャンプしている二人が、笑顔で談笑をしていたり、自転車で川に突っ込んで、大笑いしている学生達がいたり、好き好き同士の、プロポーズだったり、失恋の、雨の日だったり。
私は、その岩が羨ましかった。

2/2/2023, 12:54:34 PM

勿忘草

勿忘草に囲まれながら、ぽつんといる私。今では何も思い出せない。
私は何者であったのか、今何をしているのか分からない。
空を見る。群青色で、とてもとても綺麗だった。
青。青。全てが青に囲まれていて。
あれ、この気持ちはなんだろう。なんで私、こんなに悲しいのだろう。止まらない。止められない。悲しい気持ちが溢れてくる。けれど何故悲しいのか、思い出せない。
なんで悲しいのだろう。なんで辛いのだろう。
私は、誰かに手を引かれた。
「勿忘草…そうですか。貴方はとても幸せだったのですね。」
私はどこに連れて行かれるのだろうか。

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