Kiss
ここに、扉がある。全く開かない扉がある。苦しい。辛い。嫌。嫌いだ。自分の声がこだまして、扉は永遠(とわ)に閉じたまま。このまま開かず、この全てへ篭りっきりになるのかなと、私は私を傷つける。もう私の全てはぼろぼろだった。
…
いつ頃だろう。ふと、私の声が呼びかけた。先に、何かが視えた気がした。
「大丈夫。大丈夫だから。私は、一人じゃないから。私には、私がいるから。私を、大好きな私が、ここにいるから。だから…私を…私を助けて」
どうしたことか、前が、静かに、静かに、水色に泳いだ。
私は、ぼろぼろな全てを抱え、その扉へ、優しく、ありがとうと言うように、Kissをした。
2/4/2023, 1:23:28 PM