すぎもと

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2/2/2025, 3:46:59 PM

 仕方がないことだと、わかっていた。
 それでも私は悲しくて、寂しくて、辛かった。
 いっそのこと、君を止めてしまいたかった。君に、夢を諦めるように言いたかった。
 ────でも、無理だった。幼い頃からの夢を、追って粉々にしたくなかった。

 だから、手紙を書いた。私は意気地無しで、弱くて、自分の思いを直接言えないから。
 内容は単純だ。『いかないで』『私も連れて行って』というようなことを、ただただ述べただけだ。
 本当はわかってる。君の夢を叶えるためにはここを出るしかなくて、私は置いて行かれなければならないって。
 それが本当は、口だけなのもわかってる。
 心の中では、受け入れられずにいることも。

 君と並んで、私の好きなバンドの特集を見る。
 「やっぱいいな、このバンド。お前、見る目あるな。」
「あははっ、ありがとね。」
そんな会話をして、推したちの声を聴く。
 一生、この時間が続いてほしいと思ってしまう。
 思ってしまったから、言ってしまった。
「諦める気は無いの?」
でも、君はいつもみたいに含羞むような笑顔で言うんだ。
「ないな。俺の夢────お前がくれた、俺の夢なんだからな。」

 特集を見終わると、私はすぐに手紙を隠した。
 机の引き出しの、鍵がないと開かないところに突っ込んだ。
 捨てるべきだと思ったが、それは出来なかった。
 勿体ないと、思ってしまったのだ。
 後悔はしなかった。────後悔している自分自身に、気付かないふりをしていただけかもしれないけど。

 翌朝、君は玄関の前に立っていた。その手にはスーツケースがあり、君の好きなバンドのキーホルダーがついている。
「それじゃ、行ってくる。」
「うん、行ってらっしゃい。頑張ってね。」
「あぁ。────また、逢える日まで。」
「うん。」
 君が私に背を向け、ドアを押して出ていく。
 君が振り返らないことを願った。────泣いているのを、知られたくなかったから。

#隠された手紙


1週間ぶりの更新です。ごめんなさい。
低頻度で低クオの作品を書きます。ごめんなさい。
あ、そうだ。数学の課題なんとか終わって、テストもなんとかなりました。

1/26/2025, 3:54:49 PM

 今日は久しぶりに、小説ではなく実話を。
 何日ぶりかな。目標と日の出?と幸せのやつっきり?────意外と書いてるな、実話。

 というのはどうでもいいとして。
 九時間後には、私が通っている高校の一般入試があります。私たちの後輩となる人が、頑張って入試問題を解くのです。
 私たちはあと二日休みがあってラッキーとも思いましたが、中学三年の皆様にはそんな余裕ないよね。
 頑張ってね。入試問題、意外と簡単だから。ただ、学校までのアクセス悪いから、そこは注意してね。

 ────いやいや、ちょっと待てよ。
 水曜日に数Iのテストがあるんだけど、月火休んで、学校来たらもう────

 わぁ、最悪!課題のテキストほとんどやってない!
あと二日で頑張ります!
 明日早起きするから、受験生の皆さんと頑張ろうと思います!まぁ、頑張る程度は段違いなんですけどね。

1/22/2025, 12:20:53 PM

 浅い眠りから覚めた私は、一先ずなにか飲もうとリビングへ向かった。
 廊下を歩いているとき────リビングに行くまでにトイレの前を通るのだが、その中から、誰かが苦しんでいるような声が聞こえた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
荒い息も聞こえる。それからまた、ぼたぼたと何かをトイレの中に落とすような音がする。────嘔吐しているのだと、すぐにわかった。
 私はとりあえず、キッチンから水を持ってきた。もう、自分のお茶なんてどうでも良くなっていた。それからトイレから離れたところ(さすがにドアの前で待ち伏せするのはちょっと・・・と思ったのだ)で突っ立って待っていた。
 しばらくすると、あなたが咳き込みながらトイレから出てきた。顔色が悪く、足取りもふらふらしている。
「ねぇ、大丈夫・・・?」
水を差し出しながら言うと、あなたは驚いた顔をした。
 それから、あなたはうがいをして、私はその背をさすっていた。そんな私たちに、かつての私たちが重なる。その時は私が口をゆすいで、あなたが私の背をさすってくれたが。
 「ごめんな、こんなことさせて。」
口を拭きながらあなたが言う。
「いいんだよ。私も、恩返ししたかったし。」
どんな理由であれ、あなたが辛そうにしているなら、傍にいて支えてあげたい。かつて、あなたがしてくれたように。
 苦しんでいる、あなたへの贈り物。────ただのお返しにはなるが、私も沢山の優しさを贈りたい。


#あなたへの贈り物

1/21/2025, 10:49:39 PM

 周りを見回せば、皆その手に羅針盤を持っていた。勿論、私と仲良しの、芸大に行くという夢を抱いているあの子も。
「芸大に行くために、高2から絵を習うことにした!」
「あとここを塗り終われば、皆に追いつく!」
二人はそんな感じで言っているが、どちらもその羅針盤に導かれたのだろう。

 願わくば、私にも羅針盤を。
 それは、夢や目標があれば手に入るのだろうか。
 一応、私にもある。
「死にたい。もしくは、本音を伝えても怒らない友だちが欲しい。」
 でも、私には羅針盤がない。

 ────でも、分かったんだ。
 羅針盤を貰うために、することは夢や目標を持つなんてことではないのだ。
 夢を追うという覚悟と、突き進んでいく度胸。────これらこそ、本当の必要なものだったんだ。道理で私には無いわけだ。口だけで夢を語り、度胸も覚悟もない私には。
 そうだね。死ぬためにも、そのための勇気が必要だし、本音で話せる友だちにしても、自分が変わらなければそんな人来ないに決まっている。

 今日も、片手に羅針盤を握る皆に劣等感を抱きながら、何とか部室までたどり着いて、そのドアを開ける。
 そこには、壊れた羅針盤を机に置いた君がいて、私に手を振っていた。
「やっほー、待ってたよ。」
あぁ、この人は挫折したのだろうか。
「君が部活来るのが早いんだよ・・・」
それとも、目標を達成して、もう羅針盤は要らなくなったのだろうか。


#羅針盤

1/20/2025, 3:36:37 PM

明日に向かって歩く、でも明るい道なんて見えない。
明日に向かって歩く、でも暗闇を照らす光はない。
明日に向かって歩く、でも辺りから嘲笑が聞こえる。
明日に向かって歩く、でも、歩くのが怖い。
明日に向かって歩く、でも隣に君はいない。

明日に向かって歩く、でも、止まれない。
明日に向かって、歩き続けるしかないんだ。

明日に向かって、希望を求めて、光を探して、君の隣で、無音の世界に、楽しい気持ちで歩ける。

希望も光も何も無い、絶望のみの明日に向かって。
そんなことをできる日が、いつか来るといいな。


#明日に向かって歩く、でも
(あまり更新出来なくてごめんなさい!今日のやつもすごく短くてごめんなさい!
いつもこんな駄文を読んでくださって、本当にありがとうございます。)

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