浅い眠りから覚めた私は、一先ずなにか飲もうとリビングへ向かった。
廊下を歩いているとき────リビングに行くまでにトイレの前を通るのだが、その中から、誰かが苦しんでいるような声が聞こえた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
荒い息も聞こえる。それからまた、ぼたぼたと何かをトイレの中に落とすような音がする。────嘔吐しているのだと、すぐにわかった。
私はとりあえず、キッチンから水を持ってきた。もう、自分のお茶なんてどうでも良くなっていた。それからトイレから離れたところ(さすがにドアの前で待ち伏せするのはちょっと・・・と思ったのだ)で突っ立って待っていた。
しばらくすると、あなたが咳き込みながらトイレから出てきた。顔色が悪く、足取りもふらふらしている。
「ねぇ、大丈夫・・・?」
水を差し出しながら言うと、あなたは驚いた顔をした。
それから、あなたはうがいをして、私はその背をさすっていた。そんな私たちに、かつての私たちが重なる。その時は私が口をゆすいで、あなたが私の背をさすってくれたが。
「ごめんな、こんなことさせて。」
口を拭きながらあなたが言う。
「いいんだよ。私も、恩返ししたかったし。」
どんな理由であれ、あなたが辛そうにしているなら、傍にいて支えてあげたい。かつて、あなたがしてくれたように。
苦しんでいる、あなたへの贈り物。────ただのお返しにはなるが、私も沢山の優しさを贈りたい。
#あなたへの贈り物
1/22/2025, 12:20:53 PM