どこにも書けないことは、沢山私の心の中にある。
書けないっていうか、言えないというか。
「たーかーはーしーくん!」
寝てる彼に対して、私が目覚まし時計になってあげた。
「何?」
口調でもLINEでも、君は変わらない。無口で短文だ。
もうHRが終わったというのに、いつまで顔を伏せているんだろう。
「もう、早く起きないと私が襲っちゃうよ」
「どういう意味で言ってんの」
相変わらず君は無口だ。でも、素直だ。
「真昼ー!帰るよー」
友達が私を呼ぶ声がした。
「はいはい今行くから!」
どこにも書けないこと、か。
冒頭では沢山あるって示したけど、どっちかと言えば一個の気持ちが膨らんでる感じ。
そうだな、例えばそれは。
高橋くんへの想い、とか。
『どこにも書けないこと』#高橋くんシリーズ
「俺、病気なんだよね」
親友から突然告げられた言葉。
俺はその意味が分かってるはずなのに何をいってるのかが全く分からないという状況だ。
「勿論…治るんだよな」
途切れ途切れになりながらもやっと話す。
「ごめん…あと半年…ってところ」
「…は?」
絶望というものはまさにこのことを言うのだろう。
一緒にいることが当たり前だった親友。
これから隣がいなくなって、俺は幸せに生きていけるのだろうか。
これからの人生は山ほどあるのに、親友がいないで青春とやらを謳歌できるのだろうか。
「そんな顔するなよ、輝ならこの先も俺なしで生きていけるさ」
無理だよ、そんなの。
お前がいなくて、どうやって生きていけって言うんだよ。
神様、どうか、どうか。
今だけ。いや、もっと、ずっと。
時を、止めてください。
『時計の針』
「ぐふふふ」
横にいる彼女は変な笑い方をする。
「その笑い方やめてくれる?正直鬱陶しいよ」
僕は優しいので素直に彼女に教えてあげる。
「だって高橋くんに勉強教えてもらえるほどレアなことはないんだよ?で、私にいつもの笑い方に戻ってほしいとでも?」
「正解だよ」
彼女は諦めていつもと同じようにふふっと笑う。
「ていうか毎回毎回なんで僕なの?水族館だって友達が沢山いる君は他の人誘えるし、今日だって一番頭いい榊くんとやらに教えてもらえばよかったじゃん」
疑問をすらすら言いすぎて息が切れた。
すると彼女はいつもの明るい笑顔でこう言った。
「だって、私にとって高橋くんはかけがえのない存在なんだからね!」
僕は今日まで恋心を密かに抱いてきたけど、もしかしたらもう隠さなくてもいいのかもしれない。
やっぱり、僕は。
君に恋してる。
『溢れる気持ち』#高橋くんシリーズ
キスをした。
甘い味、柔軟剤の香り。
全てが愛おしい。
長いキスを終えると、彼女はとろんとした目でこう言った。
「…大好き」
あぁ、もう。
理性が飛ぶのを抑えきれなくて、俺達はまたキスを始める。
『kiss』
学校に行きたくないと前言ってた彼が、急に毎日ちゃんとくるようになった。
彼の親友に聞くと、
「あいつ、お前と出会ってから学校が楽しくなったらしいぜ」
もちろん、それは“友人”という建前。
こっちが恋愛感情をもってるとも知らずに。
もし付き合ってたらこうなのかなって、そんな妄想が沢山出てくる。
もしも、あなたと生涯を共にできたら――
来世も、その先も、1000年後も。
無理だと思うけど、そのことを聞いてから。
私のことを愛してくれる運命を、信じて疑わなくなってしまった。
『1000年先も』