「愛は友樹とキスしたことあるの?」
急に友人にそう言われて思わず飲んでいたお茶でむせてしまった。
「な、なに急に」
「だってもうすぐ付き合って1年だよ?いい加減キスしなよ」
明らかに私をおちょくってるような顔面に若干イラッとしたけど、それと同時に事実を言われた気がした。
まぁ、今日はバレンタインだし、友樹と放課後会うんだけど…。
そして迎えた放課後。チョコを渡すために友樹と公園に行った。
「じゃあ約束通りチョコあげる」
「ん、おう、ご苦労」
「なにそれ」
笑いながら話してると、急に友樹が変なことを言ってきた。
「じゃあ、愛が食べさせて」
「は?」
「はい、あー」
スタンバイしてる友樹に戸惑ったけどカレカノだし、いっか!というノリでチョコを彼の口に入れようとする。
その瞬間。
私の腕は戻されて口の中にチョコを半分入れられた。
「へ?はひひへふの?」(なにしてるの?)
私は続きを言おうとする余裕もなく、友樹の唇と私の唇が重なった。
まさか、アメ移しのチョコバージョンでファーストキスを奪ってくるなんて。
私のファーストキスとチョコをそのまま奪った友樹は真っ赤な顔をしてこう言う。
「愛がファーストキスの人でよかった」
どうしよう。
おさまらせようと頑張ってるのに、鼓動が通常に戻らなくなってしまった。
『kiss』
学校に行きたくないと前言ってた彼が、急に毎日ちゃんとくるようになった。
彼の親友に聞くと、
「あいつ、お前と出会ってから学校が楽しくなったらしいぜ」
もちろん、それは“友人”という建前。
こっちが恋愛感情をもってるとも知らずに。
もし付き合ってたらこうなのかなって、そんな妄想が沢山出てくる。
もしも、あなたと生涯を共にできたら――
来世も、その先も、1000年後も。
無理だと思うけど、そのことを聞いてから。
私のことを愛してくれる運命を、信じて疑わなくなってしまった。
『1000年先も』
水族館に来た。なぜだか知らないが、あの子とだ。
「なんで僕と一緒に行こうと思ったの」
「理由はないな。高橋くんと行きたかったから!へへ」
つまり、教室に振りまいてるこの笑顔を今日は僕が独り占めできるってことだ。
「あ、見て、クラゲだ」
彼女の目線の先を辿ると、ふわふわと泳ぐクラゲがいた。
彼女は珍しく穏やかな真顔でクラゲを見つめていた。
身長は僕より下、いつも制服姿で慣れてるからか、青を基調とした服装が珍しく思える。
やっぱり、好きだな。
感じてると余計に恋心を意識してしまう。
僕と君の関係が、『真実の愛』という題名ならいいのに。
…と、考えてしまった。
『勿忘草』(高橋くんシリーズ好きかも…これからちょくちょく出てくると思います笑笑)
夕方、午後5時25分。
私は家から近い公園で子供達が遊んでる所をみた。
歳は…小学校低学年くらいだろうか。
3人は鬼ごっこ、2人はブランコで遊んでいる。
…ていうか、あんなに大きくこいで大丈夫なの?
見てると少し心配になってきたけど、同時に少し懐かしい感じがした。
私も、小学生の時にここでよく遊んだ。
そこでよく遊んでた人が、私の初恋の人だったなぁ…。
しばらくぼーっと子供を見ていると、1人が私に気づいて、トコトコと歩いてきた。
「おねーさん!私達と遊ぼうよ!」
はじけるような笑顔に魅了されそうになったが、今は高校生として、子供達に教えないといけないことがある。
「ありがとう。でもあなたたちはもう帰る時間じゃない?5時すぎてるからさ」
「あ、ほんとだ!ママに怒られちゃう」
「帰るかー!」
「ありがとう!おねーさん!」
みんなが帰路へと向かっていく中、私は空っぽになった公園のブランコに座る。
何年も経ってるのに、全く変わらない景色だ。
あの子達も私くらいの年齢になったら、私と同じように子供達に5時に帰ることを教えるのかもしれない。
私もそこにいたら、あの子達にさらに先のことを教えてあげようと思う。
この公園のブランコで、ずっと君達を待ってるよ。
『ブランコ』
彼女と旅行に来た。
「秋斗見て、沖縄の海めっちゃきれい!」
無邪気で可愛い笑顔で言う。
「梓は海が好きだね」
ホテルのベッドに寝転びながらそう答えると、彼女は急に真剣な顔になった。
「海は、お父さんの仕事場だったんだ」
あまりにも静かだから、思わず起きてしまう。
「小さい頃、よく連れてってくれて『海は心の友達、辛い事、悲しい事があると助けてくれる』ってよく言われた」
一旦話を止めた彼女の顔を見ると、涙で濡れていた。
「でも、その“海”にのまれて死んじゃったんだけどね」
耐えきれず、俺は彼女に聞いた。
「じゃあ…なんで海が好きなの?」
彼女は相変わらず静かな声だったけど、今度は優しい笑顔で言った。
「お父さんが海にいる、ずっと私を見てくれてるって思って、私はそれだけで、ずっと生きていけるんだ」
その笑顔を見た瞬間――
俺は、決めたんだ。
この子と、歩くんだ。お父さんのような存在になれるかは分からないけど。
でも俺は選んだんだ。
彼女と人生の旅路を歩むことを。
『旅路の果てに』