「ねぇねぇ」
横にいる君が俺の服の裾を引っ張る。
「どうした?」
「好き」
「は?」
付き合ってもうすぐ一年になるが、急に言われた言葉に慣れはなかった。
顔が赤くなる。
「好き、好き、大好き」
君は一つ一つを噛み締めるように言った。
理性が崩壊する。
「俺も好きだよ」
そう言いながら君を抱き寄せた。
君と出逢ってから、俺という人間がおかしくなったみたいだ。
『君と出逢って』
耳を澄ますと、心地よい自然の音が聞こえてきた。
自分の地域が田舎寄りでここだけは好きなところだ。
この学校までの通学路を歩きながら、今日もあの子のことを考える。
あの子はどこに住んでる?どの学校?名前は?
「…何もわからない」
つまらない独り言だ。
以前紙飛行機をあの子に当ててしまった時から、彼女がどうしても忘れられない。
駅に着いてSuicaをゲートにかざす。
「まもなく、一番線に列車が参ります。危ないですから――」
「…あ」
聞き覚えのある声に、思わず首が捻じ曲がるほどに思い切り振り向いた。
「やっぱり、この前の人」
心拍数が急激に増加する。
心地よい風に吹かれたその子は、自然がこちらまで連れてきてくれたのだろうか。
『耳を澄ますと』
紙飛行機を飛ばした。
舞い上がったけど、全然飛ばなくて笑ってしまう。
その時、下にいる女の子に偶然当たってしまった。
ベランダから叫ぶ。
「当てちゃいましたー!!すいませーん!!」
振り向いたその子は儚い雰囲気の子で、目が合うとふわっとした笑顔をつくった。
「大丈夫ですよ」
ドクン、と鼓動がなった。
…これが俗に言う一目惚れってやつか。
名前も、学校も、何も知らない。
でも、意地でも探し出して、彼女を俺のものにしたいという不思議な感覚に陥った。
『風に乗って』
刹那の出来事だった。
君と付き合って、別れるまで。
また会えるかな。
君の事しか考えられない。
最低だよな。
実際彼女は「最低」。
それだけ残して去っていった。
そりゃそうだ。これは、俺自身の問題。
俺が浮気をしなければ、まだ二人でいることができた。
『刹那』
言葉にできないくらい君が好きだ。
好きな人は、一年前まで付き合っていた彼女。
最近彼女のインスタを見つけてフォローした。
DMでしかやりとりできない。駅で会うけど話しかけられない。
高校も違うし、そもそも彼女は俺のことをどう思っているのだろう。
でも、気づいて欲しくて、心にあるだけの恋心が虚しくて。
いつもインスタのノートで、君に向けた曲とメッセージを送るんだ。
『言葉にできない』