「俺、病気なんだよね」
親友から突然告げられた言葉。
俺はその意味が分かってるはずなのに何をいってるのかが全く分からないという状況だ。
「勿論、治るん、だよ、な」
途切れ途切れになりながらもやっと話す。
「ごめん…あと半年…ってところ」
「は…?」
絶望というものはまさにこのことを言うのだろう。
一緒にいることが当たり前だった親友。
これから隣がいなくなって、俺は幸せに生きていけるのだろうか。
これからの人生は山ほどあるのに、親友がいないで青春とやらを謳歌できるのだろうか。
「そんな顔するなよ、輝ならこの先も俺なしで生きていけるさ」
無理だよ、そんなの。
お前がいなくて、どうやって生きていけって言うんだよ。
神様、どうか、どうか。
今だけ。いや、もっと、ずっと。
時を、止めてください。
『時計の針』
「ぐふふふ」
横にいる彼女は変な笑い方をする。
「その笑い方やめてくれる?正直鬱陶しいよ」
僕は優しいので素直に彼女に教えてあげる。
「だって高橋くんに勉強教えてもらえるほどレアなことはないんだよ?で、私にいつもの笑い方に戻ってほしいとでも?」
「正解だよ」
彼女は諦めていつもと同じようにふふっと笑う。
「ていうか毎回毎回なんで僕なの?水族館だって友達が沢山いる君は他の人誘えるし、今日だって一番頭いい榊くんとやらに教えてもらえばよかったじゃん」
疑問をすらすら言いすぎて息が切れた。
すると彼女はいつもの明るい笑顔でこう言った。
「だって…私にとって高橋くんはかけがえのない存在だから…ね」
僕は今日まで恋心を密かに抱いてきたけど、もしかしたらもう隠さなくてもいいのかもしれない。
やっぱり、僕は。
君に恋してる。
『溢れる気持ち』#高橋くんシリーズ
「愛は友樹とキスしたことあるの?」
急に友人にそう言われて思わず飲んでいたお茶でむせてしまった。
「な、なに急に」
「だってもうすぐ付き合って1年だよ?いい加減キスしなよ」
明らかに私をおちょくってるような顔面に若干イラッとしたけど、それと同時に事実を言われた気がした。
まぁ、今日はバレンタインだし、友樹と放課後会うんだけど…。
そして迎えた放課後。チョコを渡すために友樹と公園に行った。
「じゃあ約束通りチョコあげる」
「ん、おう、ご苦労」
「なにそれ」
笑いながら話してると、急に友樹が変なことを言ってきた。
「じゃあ、愛が食べさせて」
「は?」
「はい、あー」
スタンバイしてる友樹に戸惑ったけどカレカノだし、いっか!というノリでチョコを彼の口に入れようとする。
その瞬間。
私の腕は戻されて口の中にチョコを半分入れられた。
「へ?はひひへふの?」(なにしてるの?)
私は続きを言おうとする余裕もなく、友樹の唇と私の唇が重なった。
まさか、アメ移しのチョコバージョンでファーストキスを奪ってくるなんて。
私のファーストキスとチョコをそのまま奪った友樹は真っ赤な顔をしてこう言う。
「愛がファーストキスの人でよかった」
どうしよう。
おさまらせようと頑張ってるのに、鼓動が通常に戻らなくなってしまった。
『kiss』
学校に行きたくないと前言ってた彼が、急に毎日ちゃんとくるようになった。
彼の親友に聞くと、
「あいつ、お前と出会ってから学校が楽しくなったらしいぜ」
もちろん、それは“友人”という建前。
こっちが恋愛感情をもってるとも知らずに。
もし付き合ってたらこうなのかなって、そんな妄想が沢山出てくる。
もしも、あなたと生涯を共にできたら――
来世も、その先も、1000年後も。
無理だと思うけど、そのことを聞いてから。
私のことを愛してくれる運命を、信じて疑わなくなってしまった。
『1000年先も』
水族館に来た。なぜだか知らないが、あの子とだ。
「なんで僕と一緒に行こうと思ったの」
「理由はないな。高橋くんと行きたかったから!へへ」
つまり、教室に振りまいてるこの笑顔を今日は僕が独り占めできるってことだ。
「あ、見て、クラゲだ」
彼女の目線の先を辿ると、ふわふわと泳ぐクラゲがいた。
彼女は珍しく穏やかな真顔でクラゲを見つめていた。
身長は僕より下、いつも制服姿で慣れてるからか、青を基調とした服装が珍しく思える。
やっぱり、好きだな。
感じてると余計に恋心を意識してしまう。
僕と君の関係が、『真実の愛』という題名ならいいのに。
…と、考えてしまった。
『勿忘草』(高橋くんシリーズ好きかも…これからちょくちょく出てくると思います笑笑)