先程地球に向かって落ちてきた、巨大な惑星。私た
ち側からすると隕石、かな。それにより、この星の
ほとんどがえぐり取られ、生命体は死に、自然は崩
れた。家は何も無かったかのように消し飛んだし、
両親も死んだ。でも、私は生き残った。最初は絶望
もしたし、ひとりぼっちに泣きそうになったけど、
どこか楽観的で、何とかなるだろうって。これから
怒られることも無いんだ、勉強もしなくていいんだ
って、思ってた。私以外に生き残った人を探すため
に、知ってる場所をとりあえず訪れてみることにし
た。 学校、ほぼ全壊。 ショッピングモール、半壊、
友人宅、消し飛んだらしく、なかった。建物はほ
とんど壊れていてそして、悲しいくらい静かで、人
は、いなかった。もう、心も体もくたくたで、何も
分かりたくなかった。そして、最後に県を一つ跨い
だ遊園地に着いた。こんなに歩いてたんだ、って少
し自分に関心した。遊園地もほとんど壊れててもう
使い物にならなそう。本当に誰もいなかったな、な
んて思ってたら、声がした。瓦礫の下から、微かに
「助けてください」って。あぁひとりぼっちじゃな
かった。私以外の生き残り。なんて、心底安心して
しまった。
【二人ぼっち】
僕はいつも同じ夢を見る。そこはとても広い部屋で
室内と思わせる作りなのに学校のグラウンドくらいある。でも、家具などはほとんど置かれてない。
とても広いのに置かれている家具は僕の部屋にあるものと同じくらいだ。そんな広い部屋に小さな女の子がいつもいる。白いワンピースを来ていて可愛らしい顔つきの、でもどこか寂しそうな。そこで僕は女の子とお話するんだ。「寂しくないの?」って。
そしたら毎回決まって「寂しいよ。でも仕方ないの」って返ってくる。それだけの夢。なのにいつも変わらず同じ夢を見るので。今日はいつもと変わった行動をしてみようと思った。「この部屋は君の部屋なの?」と聞いて見た。いつも会うのにあの子のこと何も知らないことに気づいたのだ。すると女の子が「違うよ。ここはみんなの場所で、待ってるの」と言った。そしたら思わず、僕は「じゃあみんなが来るまで僕と遊ぼうよ」なんて柄でも無いことをいった。女の子は少し驚いた様子で、「もう夢が醒めるのに?」って……。
ピッピッピッ。僕は知らない天井で目覚めた。僕は交通事故で3ヶ月ほど寝ていたそうだ。あの子はどうなったのだろう。寝てる間にみていたただの夢だったのだろうか。「みんな」は来てくれただろうか。
【夢が醒める前に】
あの子のことが好き。シャトルランをしてるあの子
をみて急にそんなことを思った。陶器のような肌、
宝石のような瞳、絹の如し髪、あの子の口から溢れ
る言葉はどんな罵倒だったとしてもきっと綺麗でし
ょう。今まで好きって自覚していなかったことが嘘
のようにあの子のことを褒め称える言葉がスラスラ
出てくる。あの子のことを小瓶に入れてしまえてし
まえたらとてもいいでしょう。自分だけの物にして
しまえたらどれだけ良いでしょう。あぁ、どうやっ
たら自分だけのものになってくれるかな。考えただ
けで胸が高鳴る。私なんかに目をつけられて、可哀
想で可愛いあの子。恨むなら私が好意を自覚してし
まった事、私に優しくしたことを恨んでね。
【胸が高鳴る 】
不条理ってなんだろう。漫画や小説では聞くことが
あるけど、意味は知らない。(調べてみたら道筋の通
らないことを指すようで)じゃあこの世は不条理とか
聞くけど、この世は道筋の通らないねって言ってる
ってこと?じゃあ道筋の通らないってなに?だいぶ
哲学的だね。
【不条理】
かつくんは私の泣いた顔がすきなんだって。だから
いつもこんなことするんだって。かつくんは、俺に
喜んで欲しいんでしょ?WinWinじゃん、って。最
初はそれで良かった。かつくんは私の目から涙が溢
れると恍惚な表情を浮かべる。私の泣き顔程度の事
で喜んで貰えるなら別にいいかって。でもだんだん
その程度の痛みじゃ泣けなくなってかつくんのやる
ことはヒートアップしてきて、もうかつくんのこと
が好きだなんて言えないくらい痛い。もう、かつく
んのことは好きじゃない。だから、少し悪戯程度に
復讐することにしたんだ。かつくんに何をやられて
も、もう泣かない。もう好きじゃないから、喜んで
なんて欲しくないからWinWinじゃないしこれがち
ょっとした復讐になればいいな、なんて本気では嫌
ってないくせに思う。
【泣かないよ】