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12/13/2025, 12:35:57 PM

遠い鐘の音(オリジナル)

遠くで鐘が鳴っている。
時報や集会以外に鐘が何度も鳴るのは、結婚式か葬式の時だ。

誰かが家族をつくったか、
誰かが家族から旅立ったか。

遠く離れた場所にいる限り、どちらかはわからないが、この音を聴くと、つい手を合わせてしまう。

他人としてはどちらにしろ「幸せになって」との祈りが正解のように思うから。


数年ののち、闘病生活を続けていた親が亡くなった。
葬儀を終え、弔いの鐘が鳴る。
これほど近く、大きく、鐘の音を聴くのは久しぶりだった。

事情を知らぬ誰かが、遠くこの鐘を聴いて、今日は何だと思っている事だろう。
ただ「綺麗な音」あるいは「うるさい」と思っているだけの人もいるに違いない。
けれど、自分と同じように、他人の幸せを祈ってくれている人がいたのなら。
世界は少し明るいかもしれない。
普段は何となくぼんやりと祈っていたが、当事者となった今、これからはもう少ししっかり明確に祈ろうと決意する。
そう思える自分に育ててくれた親に感謝した。


今日もどこか遠くで鐘が鳴っている。
世界が少し優しくなる気がした。

12/12/2025, 1:06:10 PM

スノー(914.6)

雪は好きです。
子供の頃に少し雪国にいた事がありますが、苦労は親がしていたため、遊んだ記憶しかありません。
だから好きなのかもしれません。
今は降雪が稀な都会住み。
雪にワクワクします。
雪かきでモアイ像作ったりします。
なぜモアイかというと、平たいので。
大きな雪だるまは道路にはみ出して危ないので。

ある年の2月。
海外旅行に出かける当日の朝。
雪が積もっていました。
関東地方で稀に見る積雪で、20センチくらい。
スーツケースが独力では全く運べず、最寄駅まで歩きで普段の3倍以上かかりました。
ものすごく大変でした。
汗だくでした。
頑張りました。
駅に着いたは良いですが、電車もほぼ全滅。
空港まで行けるか危ぶまれたのですが、我々の使う路線のみがギリギリ動いているという奇跡。
おかげで無事旅行に行けました。
行き先はフィンランド。
現地で見た荷運び用のソリが羨ましすぎました。あれがあれば駅までスーツケースを運ぶのも楽だったのに!

ちなみに、同じ旅行客の皆様に「雪大変でしたね!」と話したところ、皆様前泊されていて、雪に苦労していませんでした。
賢すぎやろ!!
いや、私がアホなのか?
雪、舐めてました。すみません。

そんな苦い思い出もありつつ、やっぱり雪が降るとテンションあがります。
安全圏から見る雷が好きですが、それと一緒で、雪も面倒なければロマンがありますよね。
今年はいつ降るだろう。
イベントある日は避けて欲しいですね。(自分本位)

12/11/2025, 3:16:36 PM

夜空を越えて(914.6)

夜空を越えて。
詩的な表現だけれど、
具体的にどういう事なんだろう。

夜空を越えようとすれば宇宙に出る。
しかし、物理的に星や月を越えるにはかなりの時間がかかる。
もはや宇宙空間を夜と呼ぶべきかわからないし、夜空の境界線も不明。

夜空を越えて朝になる、ではどうか。
夜は越えているが、空は越えていない。

では、夜と朝の境界線の、ある空中の一線を越えることを言うのではどうか。
やはり月や星を無視して夜空を越えるとは言い難い。

天や地が平らにあって、天の面に星や月があれば容易に夜空を越えられるが、そんな事が現実にない事は皆が知っている。

夜空に何を飛ばすのか。
越えて、どこに届けようとしているのか。

異世界やあの世や、ここにはないどこかに。
祈りや願いを届けようとして。

そうか、こっちで創作すれば良かったんだな、と、ようやく行き着いたのですが、夜空に祈る事が思い浮かばなかったので、ギブアップ。
明日晴れますように、とかかな?(笑)

12/10/2025, 2:22:08 PM

ぬくもりの記憶(TOV)注:腐向け 昨日の続き

人肌のぬくもりを久しく感じていないな、と思う。
心臓がアレなこともあって、密着して人肌を感じられたのは人魔戦争の前までで。
隊の仲間たちとふざけて肩を組んだり、酔っ払って背負ったり背負われたり。
死人として復活してから人肌を恋しく思ったことは一度もないが、時々人のぬくもりを感じてドキリとすることはある。

つい先日も。

寒さに凍えていたら、ユーリに手の冷たさを確認された。
誰にも見えないポケットの中で。
手の甲が最初に触れて、温かい指がレイヴンの指先を探して動いて、指が少し絡んだ形でキュッと握られた。
動きが、とてもエロかった。

(こんの……天然タラシが!!)

思い出すだけで、頭に血がのぼってくる。

(俺が乙女か!!!)

両手を空中でブンブン振り回して、記憶を懸命に振り払った。

手が心地よく温かすぎて、意識せざるを得なかった。
自分から触れに行く事はあっても、あんな風に触れられる事には慣れていないので動揺した。
きっとそれだけのこと。

でも、アレクセイやドンは触れてくるな?
でも、何ともないな?あれ?
ダングレストのお姉様方も結構触れてくるな?
うん、まぁ、あれは嬉しい。
でも、何だろう、なんか違うな?

「………何やってんだ、おっさん」

ユーリの呆れた声がして、びっくりして飛び上がった。

「な、なんでもないわよ?!」
「そうかよ?」

顔が赤くなっているに違いないが、色黒で良かったと、この時ほど思ったことはない。
記憶を振り払う形のまま固まっていた両手を下ろし、ふへへと笑う。

「ついに頭がおかしくなっちまったのかと思ったぜ。幻覚でも見えてたのか?」
「まぁ、当たらずとも遠からず?」
「おい、ホントに大丈夫かよ」
「大丈夫大丈夫」

ユーリの背を、そっと押した。

眩しい生きた若人はこちらを気にせんでよろしい。
真っ直ぐ前を見て歩きなされ。
ぬくもりは生きた者同士が分け合えば良い。
自分には相応しくない。
与えないでほしい。

欲しくなりたくないから。

12/9/2025, 12:07:23 PM

凍える指先(TOV)注:腐向け

暑さには強いが、寒さに滅法弱い。
寒さにかじかむ手をポケットに突っ込み、何とか体温を上げようと、ぴょんぴょん跳ねていた。
「…おっさん、うざい」
寒さで首をマフラーに埋めたリタがジト目で睨んでくるが、動いていないと戦闘に差し支えるので許して欲しい。
「そうだ!リタっち!いつもみたいにファイアボール!ファイアボールちょうだい!」
「はぁ?」
「そしたらちょっとあったまるじゃない?!」
「バッカじゃないの」
「なんだ、おっさん、寒いのか」
涼しい顔をしたユーリが、振り向いて言った。
「寒いに決まってるでしょ!何、青年は寒くないの?」
「ああ、我慢できねぇほどでもないな」
「もー!代謝が良い若人は良いわね!おっさん冷え性だから手先凍っちゃって弓引くの大変なのよ!…サボっていい?」
「おいおい、堂々とサボり宣言かよ」
呆れた顔をしてレイヴンの隣まで下がって来たユーリだったが、いきなりレイヴンのポケットに手を突っ込んできた。
「!!!!な、なに?!!!」
「あ、嘘ついてんのかと思ったけど、ホント、おっさん体温低いのな」
手が触れて。
キュッと握られて。
ユーリの手は、ホカホカと温かかった。
(いや、絵面!!)
レイヴンは動揺した。
(いい年した男二人、同じポケットに手ぇ突っ込んでるって、おかしいっしょ!?)
焦ってポケットから両手を出し、万歳する。
勢いついでに、ユーリの手を弾き飛ばした。
「イテッ!おっさん、なにす…」
「おっさん!ジュディスちゃんに手、温っためてもらいたいな!!」
「あら、私の手はおじさまとあまり変わらないと思うわよ?」
ユーリと反対側にいたジュディスが、万歳をしているレイヴンの手にそっと触れてくれたが、体温を感じない程度には冷たかった。
その手を大事に両手で包むようにして下ろし、
「手が冷たい人は心が温かいって言うわよね」
と、目を合わせて言った。
自分と同様に冷えている手が心配だった。温めてあげられないことが悔しい。
「あら、ありがと」
「おい、おっさん、俺に喧嘩売ってんのか」
ユーリの目が半眼になる。
「あ!カロル君は子供体温で温かいんじゃない?!」
ユーリの追求から逃れるべく、レイヴンはカロルの方へ走った。
首に手を当てれば、ひゃっと叫び声があがる。
「やめてよレイヴン!冷たい!冷たいよ!」
「わははは!温か〜い」

結局、レイヴンの手を温める役目はラピードの背中に落ち着いたが、ユーリの行動による動揺で血流が良くなっていたため、手もすっかり温かくなっていた。
「わんこ、あったかいわね」
素直に背中に触れさせてくれるラピードに感謝してそう呟くと、ワフンと返事をくれた。
誤魔化すために触っているのを黙っていてやる、と、言っているみたいだった。
きっと気のせいだ。
たぶん。

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