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ぬくもりの記憶(TOV)注:腐向け 昨日の続き

人肌のぬくもりを久しく感じていないな、と思う。
心臓がアレなこともあって、密着して人肌を感じられたのは人魔戦争の前までで。
隊の仲間たちとふざけて肩を組んだり、酔っ払って背負ったり背負われたり。
死人として復活してから人肌を恋しく思ったことは一度もないが、時々人のぬくもりを感じてドキリとすることはある。

つい先日も。

寒さに凍えていたら、ユーリに手の冷たさを確認された。
誰にも見えないポケットの中で。
手の甲が最初に触れて、温かい指がレイヴンの指先を探して動いて、指が少し絡んだ形でキュッと握られた。
動きが、とてもエロかった。

(こんの……天然タラシが!!)

思い出すだけで、頭に血がのぼってくる。

(俺が乙女か!!!)

両手を空中でブンブン振り回して、記憶を懸命に振り払った。

手が心地よく温かすぎて、意識せざるを得なかった。
自分から触れに行く事はあっても、あんな風に触れられる事には慣れていないので動揺した。
きっとそれだけのこと。

でも、アレクセイやドンは触れてくるな?
でも、何ともないな?あれ?
ダングレストのお姉様方も結構触れてくるな?
うん、まぁ、あれは嬉しい。
でも、何だろう、なんか違うな?

「………何やってんだ、おっさん」

ユーリの呆れた声がして、びっくりして飛び上がった。

「な、なんでもないわよ?!」
「そうかよ?」

顔が赤くなっているに違いないが、色黒で良かったと、この時ほど思ったことはない。
記憶を振り払う形のまま固まっていた両手を下ろし、ふへへと笑う。

「ついに頭がおかしくなっちまったのかと思ったぜ。幻覚でも見えてたのか?」
「まぁ、当たらずとも遠からず?」
「おい、ホントに大丈夫かよ」
「大丈夫大丈夫」

ユーリの背を、そっと押した。

眩しい生きた若人はこちらを気にせんでよろしい。
真っ直ぐ前を見て歩きなされ。
ぬくもりは生きた者同士が分け合えば良い。
自分には相応しくない。
与えないでほしい。

欲しくなりたくないから。

12/10/2025, 2:22:08 PM