11/1/2023, 11:59:12 AM
ずっと一緒だと、契りを交わしたあの夜。
月が私と貴方を照らしていた。
簾から月光が差し込んだあの日。
私達はお互いを隠すように、消えてしまわぬようにと身を寄せた。
貴方の腕の中から見る満月は、何よりも美しい宝石のようだった。
ーーそして今、私は一人、簾から月を見ている。
あの人も同じ月を見ているのだろうか。
涙で滲んだ三日月は、あの日見た満月のよう。
私は永遠に、貴方と見た景色に囚われる。
10/28/2023, 10:06:30 AM
「もう大丈夫」
そう言って、朱に塗れた私の頭を撫でるあなたの手は
まるで綿で包むかの如く
優しくて。
思わず涙が頬を伝った。
「ねえ、どうして」
私を壊したのは、あなたなのに。
暗がりの中で、あなただけが笑みを浮かべていた。
10/27/2023, 12:25:56 PM
懐かしい本を読んでいると、不意に、紅茶の香りが鼻をかすめた。
急いで辺りを見回すも、そこには誰もいない。
きっと、あなたが読んでいたこの小説のせいね。
紅茶を嗜みながら、読書をするのが好きだったあなた。
もうこの世に、あなたはいないというのに。
次第にぼやけていく視界に、微笑むあなたが映った気がした。
10/25/2023, 12:24:12 PM
友達なんていなかった
10/24/2023, 1:00:33 PM
「また戻ってくるよ」
彼の微笑んだ顔が、ぼやけて見えた。
「いつになったら戻ってきてくれるの?」
「またいつか、お前に会いにいくさ」
私の頭を撫でる手は、いつもと同じくらいに優しくて。
どんどん離れていく背に、涙が頬を伝った。
ーー行かないで、なんて言えなかった。