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ずっと一緒だと、契りを交わしたあの夜。
月が私と貴方を照らしていた。
簾から月光が差し込んだあの日。
私達はお互いを隠すように、消えてしまわぬようにと身を寄せた。
貴方の腕の中から見る満月は、何よりも美しい宝石のようだった。

ーーそして今、私は一人、簾から月を見ている。
あの人も同じ月を見ているのだろうか。
涙で滲んだ三日月は、あの日見た満月のよう。

私は永遠に、貴方と見た景色に囚われる。

11/1/2023, 11:59:12 AM