NoName

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「もう大丈夫」

そう言って、朱に塗れた私の頭を撫でるあなたの手は
まるで綿で包むかの如く 
優しくて。

思わず涙が頬を伝った。
 
「ねえ、どうして」

私を壊したのは、あなたなのに。

暗がりの中で、あなただけが笑みを浮かべていた。

10/28/2023, 10:06:30 AM