せつか

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11/7/2025, 11:28:34 PM

本を読むだけの灯りがあればよい。
夜はそれだけでいい。
そうやって過ごしてきたから、向かいに人がいるのが落ち着かない。そう言うと「私もだから安心して」と言って君は笑った。
テーブルにあるのはスタンド式のランプと珈琲とチョコレート。
深夜にも関わらず、俺はこれがやめられない。
君は静かに本を読んでいる。
ランプに照らされた顔。
伏せた睫毛が意外と長いことに気付く。
「·····なに?」
「あ、ごめん」
凝視してしまった。
君はまた本に視線を落とす。
俺も読みかけの小説に目を落とすが、内容が入ってこない。――だから嫌なんだ。

「明日には帰るから」
本に目を落としたままそう言った君に、俺は何と答えれば良かったのだろう。

翌朝、テーブルには君が読んでいた本だけがぽつんと残されていた。


END



「灯火を囲んで」

11/6/2025, 1:36:30 PM

冬支度はあるけど春支度は無い。秋支度も無い。夏支度は単語としてはあるけどあまり聞かない気がする。
冬は炬燵とかストーブとか、実際に物が多いからだろうか。確かに冬物衣料や布団は嵩張るし、重いし、支度だけで疲れてしまう。
歳を取るとそれがますます感じられてしまって、だんだん億劫になってくる。
早く全館空調の家が安く手に入るようになればいいのに。


END


「冬支度」

11/5/2025, 4:03:52 PM

いま時間を止めたら無限に寝てしまいそうだから駄目(笑)。こんな事しか浮かばない状態です。


END


「時を止めて」

11/4/2025, 2:39:54 PM

どーしてもあの匂いが好きになれなかった。
甘ったるい、わざとらしい、そんな印象。
花は控えめで可愛らしいのに、やたら強烈な匂い。
そういえば、〝香り〟と〝匂い〟で印象が違う気がするのはどうしてだろう??


END


「キンモクセイ」

11/3/2025, 3:25:34 PM

願うだけではどうにもならない。
本当に望むなら言葉にしなければ伝わらない。
空気を読む、なんてもう流行らない。
聞き分けのいい優等生でいる必要なんて、もう無い。

まだ長い煙草を灰皿に押し付けて、残っていた水割りを飲み干す。
カランと音を立てて氷が溶けた。
「君もこんなトコで管巻いてるヒマがあるなら行きな」
シッシッと追いやるように手を振ると、ソイツは突然ガタンとテーブルに手をついて立ち上がった。
「僕がいたい場所はここです!」
虚をつかれた。
呆然としていると、飲みかけのハイボールを掴んで一気にあおる。
「だから、その、·····好きです!!」
叫んだその顔が、真剣そのもので。

「順番が逆だろ、ガキ」
デコピン一発かましてやった。


END



「行かないで、と願ったのに」

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