人生を旅に例えることがあるけれど、その列車からもう降りたい場合はどうすればいいですか?
とてもとても疲れてしまって、もう車窓からの景色を見ることも難しいのです。
寝台列車のように寝ているだけで終着点に連れて行ってくれる方法は無いものでしょうか?
旅が続くことを喜ばしく思える人は幸福です。
私はもう、一刻も早く人生という長旅を終わらせたいのです。
でも、自分で終わらせる勇気も無いから、ただこうやって嫌だ辛いと言いながら、続く日々をなんとかやり過ごしています。
END
「旅は続く」
とある古城に一枚の大きな絵が掛かっている。
百号ほどの大きさのその絵は城の広間に掛かっていて、かつては賓客達を睥睨していたであろうことが窺える。
描かれているのは五人の人物だ。
いずれも上等な黒いスーツに身を包み、四人は椅子に座り、一人は立ってこちらを睨みつけている。
かつてこの城に住んでいた城主達であろうか。だとしたら一枚の絵に収まっているのはおかしい。
では、一人は城主で他は一族の者達なのだろうか。
それだとまたおかしな点がある。
この絵に描かれているのは、全員男性なのだ。
普通、こういった大きな絵に複数の人物が描かれていたら家族かと思う。だが、この絵の人物は全員男性で、しかもみな似ていない。つまり、赤の他人なのだ。
血縁関係では無いとしたら、組織か何かの幹部達だろうか。分からない。
この絵が古城に掛けられている理由も、描かれている老人達の正体も、誰が描いたのかも分からないこの絵は、黒いスーツに白髪の老人達という画題のせいでモノクロに見える。そして·····、酷く不吉な、禍々しい雰囲気を醸し出している。
〝この城が滅んだのはこの絵のせいだ〟
そんな都市伝説めいた話が巷間に流れるのも、無理からぬ話だった。
◆◆◆
『見つけたよ』
たった一言。
そのメッセージを見た瞬間、男は立ち上がった。
探し続けた唯一の手がかり。
悲願を成就する為の切り札。
「よくやった。すぐ行く」
相棒の手柄に逸る気持ちを抑えて支度をする。
「·····」
胸によぎる一抹の不安。
頭を振ってやり過ごす。
何があっても、どれだけ犠牲を払っても、今度こそ奴等を·····。
決意を胸に、男は旅立った。
END
「モノクロ」
たとえば誰かが誰かの一生を書き記したら、それは記録となって残り続ける。
写真に撮っておく。
音声を録音しておく。
書き記しておく。
誰かに伝える。
その行為は消えてしまうであろうものを残しておきたいという、人の祈りのようなものなのだろう。
何千年も昔の神話が残っているのも、ほんの十数年前のマッチ箱や包装紙を集めたいと思うのも、気持ちとしては似ているのかもしれない。
生きた証を、永遠に。
忘れ去られてしまうのは二度目の死に繋がるという。
二度目の死を迎えない為に、永遠なんてないけれど、人は記録をし続けるのだ。
END
「永遠なんて、ないけれど」
最後に泣いたのはいつだったか。
あまりに昔のことで忘れてしまった。
いつ泣いたのかも、なぜ泣いたのかも、もう思い出せないほど遠い昔のことだ。
いつから泣けなくなったのか。
いつから泣かなくなったのか。
泣いても何も解決しないと思い知ったからか。
泣いたところで疲れるだけだと分かったからか。
今もし私が涙を流したところで、目にゴミが入っただけとか、目が痒くなっただけとか、その程度に思われるだろう。
人目も憚らず泣けるほど豊かな感情は、もうどこかに置き忘れてしまって、乾いた砂のような自分が取り残された。
END
「涙の理由」
今思いついたネタを書いておかなきゃ!!
の気持ちであらゆる話は始まっている。
(私にとって二次創作とはそういうもの)
END
「コーヒーが冷めないうちに」