せつか

Open App

たとえば誰かが誰かの一生を書き記したら、それは記録となって残り続ける。
写真に撮っておく。
音声を録音しておく。
書き記しておく。
誰かに伝える。
その行為は消えてしまうであろうものを残しておきたいという、人の祈りのようなものなのだろう。
何千年も昔の神話が残っているのも、ほんの十数年前のマッチ箱や包装紙を集めたいと思うのも、気持ちとしては似ているのかもしれない。

生きた証を、永遠に。

忘れ去られてしまうのは二度目の死に繋がるという。
二度目の死を迎えない為に、永遠なんてないけれど、人は記録をし続けるのだ。


END



「永遠なんて、ないけれど」

9/28/2025, 11:01:10 AM